サイバー攻撃の脅威 フォロー

「ATMがダウン」韓国の銀行を狙った攻撃の犯人は?

松原実穂子・NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト

 韓国の三つの放送局と三つの銀行のコンピューターシステムが2013年3月20日午後2時ごろ、サイバー攻撃により一斉に停止し、再起動できなくなった。銀行の現金自動受払機(ATM)が使えなくなり、放送局は手作業による放送を余儀なくされた。

 被害を受けた銀行の一つでは、当初ATMの47%がダウンしたという。翌日午前6時になって、ようやくATMの78%が正常に機能するようになった。別の銀行では、2時間にわたりシステムがダウンし、インターネットバンキングやATMが使えなくなってしまった。

 放送局は3局とも放送を続けることはできた。被害を受けた放送局の一つは、コンピューターやネットワークがまひしたため、社員の個人ノートパソコンや携帯電話を使って業務を続けた。別の放送局では、ニュース原稿の作成や編集を手作業で行ったという。

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NTTチーフ・サイバーセキュリティ・ストラテジスト

早稲田大学卒業後、防衛省で9年間勤務。フルブライト奨学金により米ジョンズ・ホプキンス大学高等国際問題研究大学院で修士号取得。その後、米シンクタンク、パシフィックフォーラムCSIS(現パシフィックフォーラム)研究員などを経て現職。国内外で政府、シンクタンクとの意見交換やブログ、カンファレンスを通じた情報発信と提言に取り組む。