「自己保身社会」の現実 フォロー

「リストラ部屋」百貨店40代女性の苦悩は人ごとでない

編集部
精神科医の片田珠美さん=2019年3月22日、川村彰撮影
精神科医の片田珠美さん=2019年3月22日、川村彰撮影

「嫉妬と羨望」精神科医・片田珠美さんに聞く(1)

 ネットを通じた他者への攻撃が氾濫する日本社会の病理を分析した連載「『自己保身社会』の現実」の筆者で精神科医の片田珠美さんにインタビューします。テーマは「嫉妬と羨望(せんぼう)」。初回は連載を振り返ります。【聞き手は経済プレミア編集部、今沢真】

 ――連載で多く読まれたのが「百貨店勤務40代女性が『リストラ部屋』で見たもの」です。希望退職に応じなかった女性が、上司からいじめを受ける話です。職場でリストラに巻き込まれ、心を病んで片田さんのところに診察を受けにくる人は多いのですか。

 ◆片田珠美さん とても多いです。あの原稿の女性は陰湿なやり方をされ、かわいそうでした。上司が郵便物を投げてよこしたり、「死ね」と言ったり「邪魔」と言ったり。周りにわからないようにやるので、訴えてもパワハラと認められないのです。パワハラ認定されないようにいじめて、辞めるように仕向けることが結構あります。

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長く経済分野を取材してきた川口雅浩・毎日新聞経済部前編集委員を編集長に、ベテラン・若手編集者が経済・社会の最新情勢を追います。
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