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「熊本とともに」元サッカー日本代表・巻誠一郎が語る夢

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「社会から孤立している人、放り出されている人がいる現状に、一石を投じることができたら」 本人提供
「社会から孤立している人、放り出されている人がいる現状に、一石を投じることができたら」 本人提供

 現役時代に遭遇した熊本地震から間もなく6年。発災直後から避難所を回り、引退後の「セカンドキャリア」を故郷の復興支援にささげてきた。根底にあるのは「誰かのために動く」という決意だ。元サッカー日本代表・巻誠一郎さんに話を聞いた。

(聞き手=市川明代・編集部)

── 2016年の熊本地震から、地域に根付いた災害支援活動を続けてきました。いま力を入れていることは。

巻 地震発生を機に立ち上げたボランティア団体を基に、17年に「ユアアクション」というNPO法人を設立しました。将来、地域を担う子どもたちに夢を持ってほしいという思いから、熊本を中心に年間30回ぐらい、「夢を持つことがなぜ大事か」「夢をどう形に変えるか」という講演をしてきました。その過程で突きつけられたのは、経済的事情などによって、夢があってもどうしても道を開けない子どもたちがいるという現実でした。

 そこで2年前から、レーサーになりたい、ハンバーガー屋さんになりたい、どんな夢でもいい、そういう子どもたちを募って、夢をかなえるために目の前にある課題を定義し、解決する力を養うプログラムを作りました。企業や団体から寄付を募り、子どもたちは完全無料で週1回、1年間学んでいます。

── サッカーを通して学ぶのですか?

巻 最初の1時間は課題を与え、解…

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