鳥海高太朗の旅行経済学 フォロー

日本人の海外渡航「水際対策緩和」でもビジネスが中心

鳥海高太朗・航空・旅行アナリスト
出発客で混み合う羽田空港の第3ターミナル出発ロビー=2022年11月6日、筆者撮影
出発客で混み合う羽田空港の第3ターミナル出発ロビー=2022年11月6日、筆者撮影

 訪日外国人や海外から帰国する日本人の「水際対策」は、9月以降大幅に緩和されている。9月7日からは、ワクチンを3回以上接種していれば入国時にPCR検査が不要となり、さらに10月11日以降は、コロナ前にビザが不要だった国から日本を訪れる外国人は、観光・ビジネスを問わずビザがいらなくなった。

 羽田空港の国際線が発着する第3ターミナルは、10月中旬から、チェックインカウンターに長い行列ができる光景が久しぶりに戻り、保安検査場も混雑して通過に30分近くかかるケースも出ている。

感染症危険情報が「レベル1」に

 筆者は水際対策緩和後の9月にシンガポール、11月に台湾、ハワイに出かけた。ただ、特にシンガポールと台湾行きの機内で感じたことは、日本人の乗客はビジネス客が中心で、観光客の姿は見られるものの、割合はかなり少ないということだった。

 理由は複数考えられる。まず、ビジネス客が増えた要因は、外務省が10月19日、新型コロナに関する感染症危険情報を全世界で「レベル1」に引き下げたことが大きい。

 それまでは「レベル2」の国も多数残っており、レベル2は「不要不急の渡航は止(や)めてください」という指示のため、海外出張を控える企業も多くあった。だが、すべてレベル1になったことで、2年半ぶりに海外出張を解禁した企業が増えた。オンラインで代替していた商談も、リアルとオンラインを併用する動きに変わってきている。

 国際線航空券の値上がりや…

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航空・旅行アナリスト

1978年千葉県生まれ。成城大学経済学部経営学科卒。城西国際大学大学院国際アドミニストレーション研究科修士課程修了。食品会社、城西国際大学観光学部助手を経て、帝京大学、共栄大学、川村学園女子大学で非常勤講師。専門は航空会社のマーケティング戦略。テレビやラジオの情報番組に多数出演し航空会社や旅行の解説を行う。近著に「コロナ後のエアライン」。