健康に暮らす10歳若返る歩行術 -インターバル速歩-

今日から使える効果的なストレッチのポイントとは

能勢博 / 信州大学教授

インターバル速歩の前後にストレッチを

 これまでの連載で、自分の「速歩」や正しいフォームをつかめたら、いよいよインターバル速歩のスタートです。ただし準備体操をせず、いきなりスタートするのは要注意です。インターバル速歩が目指しているのは、「ややきついと感じる運動」とその効果ですから、体への負荷も普通のウオーキングより若干高いからです。

 今回は、インターバル速歩の前後で実践するストレッチメニューを紹介しましょう。

効果的なストレッチのポイント

 また、効果的なストレッチのポイントを解説します。

1)ゆっくり伸ばす

 筋肉や腱(けん)を伸ばす時は、ゆっくり少しずつするのがいいです。いきなり伸ばすのではなく、体を徐々にならしながら、ストレッチの範囲を伸ばしましょう。

2)反動をつけずに伸ばす

 伸ばす時は反動(弾み)をつけると筋肉に無理な負担がかかり、筋肉や腱を傷付けてしまう恐れがあります。弾みをつけずに伸ばせる範囲でストレッチしましょう。

3)伸ばす時は息を吐きながら

 息を吐きながらストレッチをすると、体の緊張が和らぎ、筋肉もリラックスして伸びやすくなります。そして、血圧の上昇が抑えられ安全です。

4)痛みを感じる手前でやめる

 痛みを感じるまで伸ばすのは逆効果。筋肉の腱を痛める恐れがあるので禁物です。「気持ちよい」と感じるところでやめましょう。

5)伸ばす時間は20〜30秒を目安に

 ストレッチは1、2秒伸ばすだけでは目立った効果は期待できません。ストレッチごとに伸ばす時間は20〜30秒を目安にしましょう。

 また、ストレッチのすべてのメニューをこなす必要はありません。下半身を中心に自分ができるメニューを実践しましょう。歩行前後にストレッチを行うことで、歩行時の転倒やけが、事故を予防するだけでなく、運動後の筋肉痛を軽減する効果もあります。

 さらに「最初はできなかったストレッチが、インターバル速歩を続けているうちにできるようになった」という声もよく聞きます。これは、速歩によって筋肉の可動域が広がるからです。したがって、一度チャレンジしてできなかったメニューは、1、2カ月後に再びチャレンジしてみましょう。体が以前より柔らかくなったのを実感するのも楽しいものです。体が柔らかくなれば、それだけで登山など体を動かすレジャーや日常生活での活動も楽になります。

本格的な登山シーズンの到来、でも体力は大丈夫?

 秋が訪れ、本格的な登山シーズンの到来です。当地、信州でも10月に入ると、多くの人たちが紅葉に彩られた北アルプスを目指します。運がよければ、新雪を冠した山々、ふもとの紅葉、そして青空のコントラストを楽しむことができるでしょう。でも皆さん、体力は大丈夫でしょうか。最近は中高年の山岳遭難が、マスコミをにぎやかしていますが、その原因は「加齢による体力の低下を本人が自覚していない」ことだといわれています。すなわち、自分の体力をわきまえないで、無理な登山計画を立てるからだ、というわけです。安全に登山をするためには、まず十分に体力作りをして臨むことが重要です。インターバル速歩を続けて体力が向上すれば、皆さんが登ることのできる山が一段と増えますよ。

 登山に必要な体力について、実践的に学ぶ講座「60歳からの登山教室」を、長野県山岳総合センターが10月14、15日に開催する予定です。1泊2日で各自の体力を測定し、高年者が安全に山に登る方法を学び、実際に鍬の峰(長野県、1623m)に登ります。長年、常念岳診療所長を務めてきた私も、この企画に参加しています。興味のある方はこちら(http://www.sangakusogocenter.com/koza_tozan/yoko/2015H.pdf)を見て、応募してみてください。

 次回からいよいよインターバル速歩の効果についてお話ししましょう。お楽しみに。

能勢博

能勢博

信州大学教授

のせ・ひろし 1952年生まれ。京都府立医科大学医学部卒業。京都府立医科大学助手、米国イエール大学医学部博士研究員、京都府立医科大学助教授などを経て現在、信州大学学術院医学系教授(疾患予防医科学系専攻・スポーツ医科学講座)。画期的な効果で、これまでのウオーキングの常識を変えたと言われる「インターバル速歩」を提唱。信州大学、松本市、市民が協力する中高年の健康づくり事業「熟年体育大学」などにおいて、約10年間で約6000人以上に運動指導してきた。趣味は登山。長野県の常念岳診療所長などを歴任し、81年には中国・天山山脈の未踏峰・ボゴダ・オーラ峰に医師として同行、自らも登頂した。著書に「いくつになっても自分で歩ける!『筋トレ』ウォーキング」(青春出版社)、「山に登る前に読む本」(講談社)など。

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