健康に暮らす人類史からひもとく糖質制限食

唯一無二のホルモン・インスリン誕生の秘密

江部康二 / 高雄病院理事長

ヒトの進化とインスリン【前編】

 インスリンは皆さんよくご存じの血糖値を下げるホルモンですが、このホルモンが存在するようになった意味やプロセスは、解明されている部分とよく分かっていない部分があります。今回はインスリンの不思議さ、意外な性質に迫ってみます。

基礎分泌と追加分泌

 糖尿病の人はよくご存じでしょうが、インスリンは膵臓(すいぞう)のランゲルハンス島という部分にあるβ(ベータ)細胞でつくられています。その主な役割は、血液中のブドウ糖の量(血糖値)を調整することで、体内で唯一、血糖値を下げる働きをする物質です。そしてインスリンの分泌の仕方は、大きく2種類に分けられます。24時間継続して少量ずつ分泌し続ける「基礎分泌」。そして、食事で糖質を取り、一時的に血糖値が上がった時に出る「追加分泌」です。

 基礎分泌という仕組みがあることから分かるのは、何も食べていないときでも、人体には少量のインスリンが…

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江部康二

江部康二

高雄病院理事長

えべ・こうじ 1950年生まれ。京都大学医学部卒業。京都大学胸部疾患研究所(現京都大学大学院医学研究科呼吸器内科学)などを経て、78年より医局長として一般財団法人高雄病院(京都市)に勤務。2000年理事長に就任。内科医、漢方医。糖尿病治療の研究に取り組み、「糖質制限食」の体系を確立したパイオニア。自身も02年に糖尿病であることが発覚し、実践して糖尿病と肥満を克服する。これまで高雄病院などで3000人を超える症例を通じて、糖尿病や肥満、生活習慣病、アレルギーなどに対する糖質制限食の画期的な治療効果を証明し、数々のベストセラーを上梓している。

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