ペルー・マチュピチュ:石畳の古道にて

 マチュピチュ遺跡から眼下にひろがる森をみて、いったいどれほどの薬草があるのだろう、と心をひかれた。遺跡を案内してくれたガイドに、薬草に詳しい地元の人を紹介してもらった。

 翌日、強い日差しを浴びながら、薬草を案内してくれる人が暮らしている村へ、川沿いの道を歩いて向かった。途中、深い森に通じる石畳の道を何本か見つけた。インカ帝国の時代に完成した「カパック・ニャン」、またの名を「インカ道」と呼ぶ古道だ。目の前に現れた古道を進んでいくと、マチュピチュに行き着くのだという。インカ道は太平洋岸からアンデスを越えて帝国の都市、クスコやキトなどにつながり、さらにアマゾン奥地にまで延びていた。総延長5万kmにもおよぶ、壮大な世界最大規模の道路網だった。今から500年前、道の石畳はいつもきれいに整備され、約5kmごとにチャスキと呼ばれる飛脚が常時2人待機していた。チャスキは時速20kmで走って皇帝への敏速な伝達を担っていたという。文字を持たないインカ帝国では、ひもに結び目を付けて数字などの情報を記録するキープという方法が文字の代わりに使われたそうだ。

 地図上だと、目的地はすぐ近くだと思ったのだが、1時間以上かけて歩いても見えてこない。さらに30分歩…

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鷺森ゆう子

エスノ・メディカル・ハーバリスト(民族薬用植物研究家)

さぎもり・ゆうこ 神奈川県生まれ。動物専門学校看護科卒。日本大学英文学科卒。1994年より動物病院で獣医助手として勤務する。同時に海や川の環境保全を行う環境NGOに携わり、海洋環境保全に関するイベントの運営などを行う。また中米のベリーズを訪れ、古代マヤ人の知恵を生かしたナチュラルメディスンに触れ、自然の薬に、より関心を持つようになる。このような体験を会報誌へ執筆する。95年から1年間、東アフリカのケニアにて動物孤児院や、マサイ族の村でツェツェフライコントロールプロジェクトのボランティアに参加する。このときサバンナでは、マサイ族直伝のハーブティーなどを体験する。帰国後は再び環境NGOなどに関わりながら、国内での環境教育レクチャーや、中米グァテマラの動物孤児院にてボランティア活動を行うなど、野生生物と人との共生について探求する。2006年から野生生物の生きる環境や、世界の自然医療の現場を巡る。

藤原幸一

生物ジャーナリスト/NATURE's PLANET代表

ふじわら・こういち 秋田県生まれ。日本とオーストラリアの大学・大学院で生物学を学ぶ。現在は、世界中の野生生物の生態や環境問題、さらに各地域の伝統医学に視点をおいて取材を続けている。ガラパゴス自然保護基金(GCFJ)代表。学習院女子大学・特別総合科目「環境問題」講師。日本テレビ「天才!志村どうぶつ園」監修や「動物惑星」ナビゲーター、「世界一受けたい授業」生物先生。NHK「視点論点」「アーカイブス」、TBS「情熱大陸」、テレビ朝日「素敵な宇宙船地球号」などに出演。著書は「きせきのお花畑」(アリス館)、「森の声がきこえますか」(PHP研究所)、「マダガスカルがこわれる」(第29回厚生労働省児童福祉文化財、ポプラ社)、「ヒートアイランドの虫たち」(第47回夏休みの本、あかね書房)、「ちいさな鳥の地球たび」(第45回夏休みの本)、「ガラパゴスに木を植える」(第26回読書感想画中央コンクール指定図書、岩崎書店)、「オーストラリアの花100」(共著、CCCメディアハウス)、「環境破壊図鑑」(ポプラ社)など多数。