病気を知る認知症110番

義母の徘徊いつまで−−不安のもと探ってみましょう

認知症予防財団

 義母(86歳)は、認知症で1人暮らしが無理になり、次男夫婦(次男62歳、妻60歳)と同居して6年たちます。数年前から徘徊(はいかい)が見られましたが、最近は週に2〜3回になり、常に見守りが必要になりました。週3回デイサービスを利用しており、その日は比較的徘徊はありませんが、他の日は落ち着かず目を離すと出て行ってしまいます。夫婦ともども振り回されている毎日で、義母の「歩けなくなると大変だから」という言葉を聞くたびに気がめいってしまいます。まだまだ足腰は丈夫そうなので、この状態は続きそうです。=神奈川県、嫁(60)

【回答】不安のもと探ってみましょう

 毎日介護に追われ、気苦労や身体の疲れがとれない状態が続いておられお疲れさまです。認知症はいろいろな症状があり、介護者にとってはどのような症状であっても大変ですし、介護者だけでなく本人も苦しい状況なのです。お母様は徘徊があり、常に見守りが必要とのことですから、言葉では表せないくらい大変であることは十分わかります。ご夫婦は自分の時間もゆったりとできない状況で、徘徊の回数が増えるのではないかとの心配もあるでしょうね。

 認知症については理解されているのでしょうね。最近では徘徊という言葉も日常的に使われていますが、その意味はいかがでしょうか。はたから見て目的もなく歩きまわる行為、うろうろする、あてもなくさまよい歩くことなどをいいますが、お母様もそうでしょうか。本人にとっては何か意味があるのではないでしょうか。

 「歩けなくなると大変だから」という言葉は、歩けなくなって子どものお世話になるのは申し訳ないという母心にも解釈できるように思えます。デイサービスで身体を使うでしょうが家の中で過ごす日は身体もそれほど使わないので、なんとなく体を動かさないと身体機能が低下していくような感じがするのではないでしょうか。

 第三者だからこのように言えるのかもしれませんが、徘徊という言葉は、人の尊厳を軽く見ているように感じます。出ていくかもしれないとお母様の行動を監視しているような気配が伝わるように思います。言いたいことが言葉で表現できなくて、どうしてよいか分からず、その場にいることさえも不安になり、その不安を解消するすべもなく、歩くという行為、あるいは、かつて安心していた場(こころの世界)に向かう行為が、他者からは意味もない行為に見えてしまうのです。何か不安があっての行為と受け止め、その不安は何かを探ってみましょう。探ってもわからないことが多いと思いますが、探ろうとする姿勢が大切だと思います。そうはいっても、いつもそばにいる人にとっては大変でストレスは増大するばかりであることは推察いたします。

 介護しているお二人が少しでもほっとできる時間を持てることが一番大切です。デイサービス利用の回数を増やすことや、介護保険サービスにあるGPSセンサーの利用なども試みてはいかがでしょうか。

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認知症の予防・治療に関する調査研究および社会的な介護体制づくり、介護家族への支援活動などを行い、豊かで明るい希望に満ちた長寿社会の実現をめざす公益財団法人です。1990年3月28日、毎日新聞創刊120周年記念事業として毎日新聞社が提唱、医学会や医師会、経済団体連合会などの協力を受け、厚生大臣の許可を得て設立されました。公式サイトhttps://www.mainichi.co.jp/ninchishou/

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