患者と医師の会話

患者「念のために検査をしてもらえませんか」

医師「検査は必要ありませんよ」

患者「念のために薬を飲んでおきたいのですが」

医師「薬も必要ありません」

患者「実は病院にも念のために来たんです」

米国発の「医療のムダ見直し」キャンペーン

 検査、薬、手術などの医療行為には、それを行うに値する科学的な根拠(エビデンス)が必要です。そんなことは当たり前じゃないかと思うかもしれませんが、現実には「患者が強く要求するから」「昔からの習慣だから」「お金がもうかるから」「患者に訴えられたくないから」といったさまざまな理由で、科学的な根拠に乏しい、言い換えれば、しなくてもよい無駄な医療が行われています。米国では2011年の1年間で1580億~2260億ドルもの過剰治療(抗生物質の使いすぎ、不要な手術など)が行われたと推計されています。

 そこに目を向け、医療職が自ら無駄な検査や治療を見直していこうというキャンペーン活動が、12年に米国…

この記事は有料記事です。

残り1861文字(全文2276文字)

北澤京子

北澤京子

医療ジャーナリスト/京都薬科大学客員教授

きたざわ・きょうこ 医療ジャーナリスト、京都薬科大学客員教授。著書に「患者のための医療情報収集ガイド」(ちくま新書)、訳書に「病気の『数字』のウソを見抜く:医者に聞くべき10の質問」(日経BP社)、「過剰診断:健康診断があなたを病気にする」(筑摩書房)

イチ押しコラム

無難に生きる方法論

原因不明の頭痛・腰痛と「釣り」の微妙な関係

 私の男性更年期外来には、頭痛や腰痛が続き、どの病院に行っても原因がわからず、対症療法をしてもいっこうに症状が良くならない患者さん…

医をめぐる情景

「失恋でうつ」の友人を励ますのはいけないこと?

 ◇楽曲「元気を出して」(1984年) 竹内まりやが作り、歌った「元気を出して」は、失恋して落ち込んだ女友だちを女性が励ます歌だ。…

人類史からひもとく糖質制限食

「正常範囲内の高血糖」でも全がんリスクが高まる

 国立がん研究センターがん予防・健診研究センター・予防研究グループが2015年、興味深い論文を発表しました。翌年には英文医学雑誌に…

旅と病の歴史地図
海外に出国する人たちでにぎわう出発ロビー=成田空港で2018年8月10日午前10時9分、小川昌宏撮影

旅先でつらい「旅行者下痢症」を薬で止めていい?

 海外旅行中に起こる下痢を「旅行者下痢症」と呼びます。発展途上国に1カ月間滞在すると半数近くの旅行者がかかるとされており、頻度が大…

超高齢化時代を生きるヒント

アルバイト医師が回す「在宅医療クリニック」の闇

 医学部5年生だった1989年の夏休み、私は実家近くにあるM先生のクリニックで1週間の実習をしていました。晴れて暑い水曜日の午後、…

Dr.林のこころと脳と病と健康

演技性パーソナリティー障害のうそが肥大する土壌

 ◇うそつきは病気か【5】 自分を実際よりよく見せるためにうそをつくのは、誰でもある程度までならすることです。ではそういう普通の人…

Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック チャートでわかる、あなたの機能年齢 北海道大学COI×医療プレミア