健康に暮らす医をめぐる情景

事故の可能性「予告」は医者の仕事か

上田諭 / 東京医療学院大学教授

テレビドラマ「ドクターX ~外科医・大門未知子~」(2012年~)

 私、失敗しないので。

 手術を前に、米倉涼子演じるフリーランスの女性外科医が発するこの言葉に、患者はどれほど救われ、安心することか。患者は医師の力量と治療への熱意を感じ、大きな信頼感を抱く。

 「ドクターX」の主人公である外科医、大門未知子は毎回、その言葉をさらりと、自信たっぷりに言ってのける。同僚の医師が、患者に手術の成功率や危険性を説明するときも、未知子は協力しない。まだるっこしそうな態度で見ているだけだ。そして、患者が「そんな危険があるなら、手術はもう少し考えさせてほしい」などと言ったりすると、未知子は声を上げる。

 「手術しなかったら、あんた死ぬよ。それでもいいの?」

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上田諭

上田諭

東京医療学院大学教授

うえだ・さとし 京都府生まれ。関西学院大学社会学部では福祉専攻で精神医学のゼミで学ぶ。卒後、朝日新聞に記者で入社したが、途中から内勤の編集部門に移され「うつうつとした」日々。「人生このままでは終われない」と、もともと胸にくすぶっていた医学への志向から1990年、9年勤めた新聞社を退社し北海道大学医学部に入学(一般入試による選抜)。96年に卒業、東京医科歯科大学精神神経科の研修医に。以後、都立の高齢者専門病院を中心に勤務し、「適切でない高齢者医療」の現状を目の当たりにする。2007年、高齢者のうつ病治療に欠かせない電気けいれん療法の手法を学ぶため、米国デューク大学メディカルセンターで研修し修了。同年から日本医科大学(東京都文京区)精神神経科助教、11年から講師、17年4月より東京医療学院大学保健医療学部教授。北辰病院(埼玉県越谷市)では、「高齢者専門外来」を行っている。著書に、「治さなくてよい認知症」(日本評論社、2014)、「不幸な認知症 幸せな認知症」(マガジンハウス、2014)、訳書に「精神病性うつ病―病態の見立てと治療」(星和書店、2013)、「パルス波ECTハンドブック」(医学書院、2012)など。

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