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花粉症の子は果物アレルギーにも注意

医療プレミア編集部

 0~16歳の子どものうち、花粉症だと親が実感している子どもは31.5%で、アレルギーの代表格であるアトピー性皮膚炎の3倍以上にのぼることが分かった。また、花粉症の人に起こりやすいとされる「口腔(こうくう)アレルギー症候群(oral allergy syndrome=OAS)」に関する調査も行ったところ、花粉症の子どもの20.6%にOASの症状である「果物を食べたときの口や喉のかゆみやピリピリ感」がみられた。小児アレルギーの専門家は「OASは花粉症の時期に悪化するため、花粉症の対策も忘れずに実行することが大切」と呼びかけている。

花粉症の子どもは3年連続で3割超え

 調査は2016年11月15~20日、花粉症対策の啓発を目的に、ロート製薬がインターネットを通じて実施。0~16歳までの子どもをもつ親1872人が子どもの人数に応じてそれぞれ答え、計2935人分の回答を得た。

 「子どもは花粉症だと思うか」尋ねたところ、親が花粉症と実感している子どもは21.0%で、「花粉症も通年性アレルギー鼻炎も両方」(10.5%)と合わせると31.5%だった。同様の調査は12年から行われており、花粉症の子どもは14年以降3年連続で3割を超えた。また、子どもが該当すると思うアレルギー症状について聞いたところ(複数回答可)、花粉症(31.5%)以外では、「通年性アレルギー鼻炎」24.2%▽「アトピー性皮膚炎」9.9%▽「ぜんそく」8.0%▽「食物アレルギー」6.1%--だった。かつて「アレルギーの王者」といわれたアトピー性皮膚炎やぜんそくの子どもが減少傾向にある一方、花粉症の子どもは横ばい状態にある。

花粉症があるとOASの症状が出る割合が高い

 花粉症の原因物質(アレルゲン)と似た物質は果物や野菜の中にも含まれていて、花粉症の患者が特定の果物や野菜などを食べると、口や唇、喉などにかゆみやピリピリ感を生じることがある。こうしたアレルギー症状をOASと呼ぶ。花粉のアレルゲンと似た構造を持つアレルゲンが含まれると報告されている食べ物は多く、代表的なものにリンゴ・モモ・キウイ(ハンノキ、シラカバなどの花粉)、スイカやメロン(カモガヤ、ブタクサなどの花粉)などがある。

 今回の調査で、OASの症状の有無についても聞いたところ、「果物を食べたときに口や唇、喉にかゆみやピリピリ感・イガイガ感」を感じていた子どもは全体の13.5%だった。花粉症の子どもに限ると20.6%で、約1.5倍高い。花粉症の子どもに症状が出たときに食べていた果物を尋ねると(複数回答可)、「リンゴ・モモ・キウイ」50.0%▽「メロン・スイカ」38.9%▽「その他の果物」35.8%--だった。

乳幼児期から花粉を回避し、発症を予防することが大切

 子どものアレルギーに詳しい大阪府済生会中津病院小児科免疫・アレルギーセンターの末広豊医師によれば、最近は小児花粉症患者の増加や低年齢化が目立ち、今後もこの傾向は続くとみられるという。そのうえで「両親がスギ花粉症の場合、理論的には子どもはほぼ100%スギ花粉症になる。花粉症は集中力の低下など生活の質(QOL)を著しく損ない、子どもの症状は鼻水や連続するくしゃみが出るというより、ぼーっとしているなど他人からは分かりづらいという特徴がある。周囲の大人が注意してあげることが大切だ」と指摘する。花粉症はアレルゲンの暴露量がある一定ラインを超えると発症し、いったん発症してしまうと自然に寛解する可能性は低いと考えられているため、乳児期から花粉を回避したり、屋内への花粉の侵入を防いだりして、発症を予防することが大切だという。また、花粉の暴露量をできるだけ少なくするための対策として、眼鏡やマスクの着用のほか、花粉の飛散が多い時間帯(午前10時~午後3時ごろ)の外出を控えたり、室内に入ったらはなをかみ、花粉を取り除いたりすることが挙げられるという。

 花粉との関連が報告されている食べ物は数多くある(表参照)。末広医師は「花粉症の人で果物を食べたときに口や唇にかゆみやピリピリ感があったら、すぐに摂取をやめ、かかりつけ医に相談してほしい」と呼びかける。かゆみなどの症状は多くの場合、しばらくすると治まる。しかし、長く続く場合や息苦しくなるなど呼吸器の症状が出た場合は、迅速に受診する必要があるという。また「OASを起こす果物のアレルゲンは熱に弱く、加熱してジャムなどにすれば食べられることもあるので、医師に相談を」とアドバイスしている。

【子どもの花粉対策5カ条】

・花粉の飛散情報をしっかりとチェックする

・屋外では、マスクの着用など花粉との接触を避ける工夫をする

・屋内に花粉を入れないようにする

・目に症状が出てしまった場合は、かいて症状が悪化しないように目薬を使う

・子どもの症状は気付きにくいので、親はサインを見逃さないようにする

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毎日新聞デジタルメディア局医療プレミア編集部は部員6名で構成しています。国内外の医師、研究者、ジャーナリストとのネットワークを生かし、日々の生活に役立ち、知的好奇心を刺激する医療・健康情報をお届けします。

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