教養としての診断学

カズイスチカ~見て診断は昔も今も基本の「き」

津村圭・府中病院総合診療センター長
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診断学は時空を超える【5】

 森鴎外は、「舞姫」「高瀬舟」「雁」など多くの短編小説を著作し、童話作家アンデルセンの小説を「即興詩人」として翻訳した明治時代の文豪です。医師でもあった森鴎外は、その経験をもとに「カズイスチカ」という小説を書きました。カズイスチカ(casuistica)はラテン語で、日本語の意味としては「症例報告」あるいは「臨床の記録」です(注1)。

 この小説では、主人公である花房(はなぶさ)医師は、父親の診療所で代診をしています。その中で出合った…

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津村圭

府中病院総合診療センター長

つむら・けい 大阪府出身。1977年大阪市立大学医学部を卒業後、国立循環器病センター(現・国立循環器病研究センター)に心臓内科レジデントとして勤務。その後の28年間は大阪市立大学医学部教員として、学部学生、大学院学生、研修医、指導医、教員の指導と医学部カリキュラムの企画と作成に携わった。診療面では循環器内科をベースとしつつ、早い時期から原因疾患の判別が困難な症例で、診断を担当する総合診療医として従事。研究面では、各種疾病のリスクファクターについての臨床疫学研究を行い、ランセット(Lancet)など欧米医学誌で発表してきた。2014年1月から現職。総合診療医として地域医療に関わるとともに、初期、後期研修医の指導を担当、臨床研修室顧問も兼任する。地域医療を充実させるため院内に家庭医療専門医後期研修プログラムを立ち上げるなど、診療と教育をリンクさせた活動を現在も続けている。府中病院ウェブサイト