医療プレミア医をめぐる情景

“メモ強迫”女子高生に寄り添う叔父は“洗手強迫“

上田諭 / 東京医療学院大学教授

映画「memo」(2008年)

 女子高生の繭子(まゆこ)は、突然紙に何かを書きたくて仕方なくなる。制限時間1分で頻繁に行われる数学の小テスト中も、解答用紙の裏に関係ない文字を書きたい衝動を止められず、問題に集中できない。音楽の授業では、歌いながら楽譜にいろんな文字を書いては黒く塗りつぶしている。

 体育のバスケットの練習中に急に「紙と書くもの!」と教師に要求し、ないとわかると廊下に駆け出し、壁に爪で字を書こうとする。ついには指先をかんで、にじみ出た血で壁の掲示物に字を書く。繭子のカバンには、いつもノートやリポート用紙や便せんがたくさん入っている。紙が手元にないと不安なのだ。

 自分でも意味のないことをしているとわかっている、でも止められない。

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上田諭

上田諭

東京医療学院大学教授

うえだ・さとし 京都府生まれ。関西学院大学社会学部では福祉専攻で精神医学のゼミで学ぶ。卒後、朝日新聞に記者で入社したが、途中から内勤の編集部門に移され「うつうつとした」日々。「人生このままでは終われない」と、もともと胸にくすぶっていた医学への志向から1990年、9年勤めた新聞社を退社し北海道大学医学部に入学(一般入試による選抜)。96年に卒業、東京医科歯科大学精神神経科の研修医に。以後、都立の高齢者専門病院を中心に勤務し、「適切でない高齢者医療」の現状を目の当たりにする。2007年、高齢者のうつ病治療に欠かせない電気けいれん療法の手法を学ぶため、米国デューク大学メディカルセンターで研修し修了。同年から日本医科大学(東京都文京区)精神神経科助教、11年から講師、17年4月より東京医療学院大学保健医療学部教授。北辰病院(埼玉県越谷市)では、「高齢者専門外来」を行っている。著書に、「治さなくてよい認知症」(日本評論社、2014)、「不幸な認知症 幸せな認知症」(マガジンハウス、2014)、訳書に「精神病性うつ病―病態の見立てと治療」(星和書店、2013)、「パルス波ECTハンドブック」(医学書院、2012)など。

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