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剥がれた網膜を戻す 治療最前線

栗原俊英 / 慶應義塾大学特任准教授

裂孔原性網膜剥離【後編】

 前回の「稲光やちりが見え、視野が狭まる…目に何が?」で、網膜剥離の種類、裂孔(れっこう)原性網膜剥離が起こる仕組みと症状について述べました。今回は裂孔原性網膜剥離(前回に引き続き単に「網膜剥離」と呼びます)の治療方法についてお話しいたします。

◇治療の原則は裂孔閉鎖

 網膜剥離の原因は、網膜が裂けてできる穴(網膜裂孔)であり、全ての網膜裂孔を閉じれば治療は可能です。このことを今から約100年前に発見したのが、スイスにあるローザンヌ大学のゴナン氏(Jules Gonin)で、1919年ごろから一連の研究発表を行いました。当時は、眼球の壁の強膜に切れ目を入れ、そこから熱した「こて」で網膜の外側にやけどを作る「烙刺(らくし)法(Ignipuncture)」という手法で網膜裂孔閉鎖を行いました。しかし、この方法は眼球にかかる負担が大きく手技も煩雑でしばしば大きな合併症を伴い、あまり普及しませんでした。

 その後、45年、ドイツ人眼科医マイヤーシュビッケラート氏(Gerd Meyer-Schwicker…

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栗原俊英

栗原俊英

慶應義塾大学特任准教授

くりはら・としひで 2001年に筑波大学医学専門学群卒業後、同年、慶應義塾大学医学部眼科学教室入局。09年、慶應義塾大学大学院医学研究科修了(医学博士)、09~13年米国スクリプス研究所研究員。帰国後、13年に慶應義塾大学医学部眼科学教室助教、15年に同教室特任講師を経て、17年から同教室特任准教授。網膜硝子体が専門。慶應義塾大学病院で網膜硝子体外科外来、メディカルレチナ外来を担当すると共に、医学部総合医科学研究センター光生物学研究室(栗原研究室)で低酸素環境における網膜の反応、光環境に対する生体反応を中心に研究を展開する。

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