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子どもだけではない!光刺激によるリスクとは

 20年ほど前、テレビ画面の強い光が、子どもを中心にけいれんやひきつけなどの光感受性発作(てんかん)を引き起こしたことがありました。一定の割合で光線や光の刺激に過敏な人がいることもわかってきています。

 テレビアニメやドラマの冒頭で、「テレビを見るときは部屋を明るくして離れて見てください」というテロップが挿入されることがあります。この表示のきっかけは、テレビアニメを見ていた子どもたちを中心に、目の痛み、頭痛、けいれん発作、ひきつけ、意識障害、不快感などの症状が引き起こされた一件からでした。

 このとき、症状が現れた人には「光過敏性発作(光感受性てんかん)」という、目から入る光刺激によって発作が誘発されるてんかん類似発作が起きていました。それまで、まったくてんかんや光過敏性発作の既往のなかった人にも突然、症状が現れたのです。

 この光過敏性発作(光感受性てんかん)とは、目に飛び込んできた光刺激に異常に反応して、けいれんやひきつけ、意識障害などの症状が起こります。強い光の明滅(フラッシュ)が大きな引き金となりますが、とくに赤と青の閃光が交互に現れる場合、高率に発症するようです。

 厚労省の調査では、部屋を暗くして見ていた、テレビから1m以内で見ていた人、ひとりで見ていた人に症状が多かったと報告されています。また、画面への集中度が高いほど、発作が起こりやすいこともわかっています。夢中になって、まばたきを忘れるほど集中する子どもに発作が多くみられたのは、そのせいもあるでしょう。

 その後、研究が進み、光過敏性発作(光感受性てんかん)にはいくつかのタイプがあることがわかってきました。光刺激でのみ発作が起こる「純粋光感受性てんかん」、光で発作を起こし、かつ光がなくても発作を起こすことがある「光感受性てんかん」、発作は起こさないが、光刺激によって脳波上にてんかん性の発作波が出現する「体質性光感受性者」があり、おおよそ、純粋光感受性てんかんが26.4%、光感受性てんかんが63%、体質性光感受性者が5.8%という報告があります。

 欧米では子どもの8.9%という報告もあり、決して特殊な人にだけ起きるものではないと思って注意しておくとよいでしょう。

 テレビ局はそれぞれガイドラインをつくり、光感受性てんかんの発作リスクをなくす努力をしています。たとえば、10フレーム(3分の1秒)以内に1回を超える光の点滅や急激なカットチェンジを避ける、赤単色の点滅やカットチェンジは避ける、明暗のくっきりした縞模様や渦巻きなどの規則的なパターンは避けるなどです。

 最近は明滅(フラッシュ)が多用される他の画像、さまざまなゲームや動画、スマホなどによる小画面のオンラインゲームなど、発作を起こしやすいコンテンツが増えています。子どもだけでなく、大人でも集中して見ることで発作を起こす危険性が高くなっています。

 発作は視野に占める刺激の割合が大きいほど起こりやすいとされるため、テレビやゲームのモニターはできるだけ離れて見る(テレビでは3m以上が望ましい)、部屋を明るくして見る、子どもが見る場合は保護者や年長者が同席して熱中しすぎないようにするなどの配慮で発作を予防することが大切です。

 また、テレビ画面などだけでなく、キラキラとした木洩れ日や水面の光反射、ビルのガラスの光反射なども光刺激となって、発作を誘発することがあります。発作を誘発しやすいに物や事象を知り、集中して見ないようにするなど、あらかじめ触れないようにする工夫も有効です。

 もしも、光の点滅や閃光を見た後に、てんかんのような発作や不快感などがみられた場合、また通所の生活でも光の刺激で発作様の症状をくり返す場合には、脳神経外科、神経内科などを受診してください。

 なお、てんかん以外にも動揺病(車酔いのような症状)や片頭痛が光で誘発されることもあります。

監修:寺本神経内科クリニック院長 寺本純

「ケータイ家庭の医学」2017年11月掲載より (C)保健同人社

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