病気を知る実践!感染症講義 -命を救う5分の知識-

実験段階のワクチンでエボラ流行が終息

谷口恭 / 太融寺町谷口医院院長

 フィリピンで接種開始されたデング熱ワクチンが副作用で中止になったことを前々回お伝えし、国際的に普及しているHPVワクチンが日本では依然として低い普及率であることを前回述べました。今回は、まだ一般に普及していないワクチンが致死的感染症の蔓延(まんえん)を防いだという話です。

アフリカで繰り返し流行

 その致死的感染症とはエボラ出血熱。2013年末ごろから16年初頭までアフリカ西部で大流行したことが大きく報道され、日本でも広く知れ渡るようになりました。最初の報告は1976年で、その後小さな流行が繰り返し生じていました。世界保健機関(WHO)によれば、2013年末からのアウトブレークでは15年10月18日までで疑い例を含めて2万8000人以上が感染、死亡例は1万1000人以上、致死率は40%にもなります。空気感染はないとされていますが、14年には救援に入った米国人の医療者も感染し、米国途上国支援団体の平和部隊は西アフリカからのボランティアの撤退を決め、米疾病対策センター(CDC)は渡航自粛勧告をおこないました。

 多数の犠牲者を出しながらもアウトブレークは終息しましたが、今年(18年)4月にコンゴ民主共和国(以…

この記事は有料記事です。

残り2231文字(全文2739文字)

今なら最大2カ月100円! キャンペーン実施中! 詳しくはこちら

谷口恭

谷口恭

太融寺町谷口医院院長

たにぐち・やすし 1968年三重県上野市(現・伊賀市)生まれ。91年関西学院大学社会学部卒業。4年間の商社勤務を経た後、大阪市立大学医学部入学。研修医を終了後、タイ国のエイズホスピスで医療ボランティアに従事。同ホスピスでボランティア医師として活躍していた欧米の総合診療医(プライマリ・ケア医)に影響を受け、帰国後大阪市立大学医学部総合診療センターに所属。その後現職。大阪市立大学医学部附属病院総合診療センター非常勤講師、主にタイ国のエイズ孤児やエイズ患者を支援するNPO法人GINA(ジーナ)代表も務める。日本プライマリ・ケア連合学会指導医。日本医師会認定産業医。労働衛生コンサルタント。主な書籍に、「今そこにあるタイのエイズ日本のエイズ」(文芸社)、「偏差値40からの医学部再受験」(エール出版社)、「医学部六年間の真実」(エール出版社)など。太融寺町谷口医院ウェブサイト

イチ押しコラム

無難に生きる方法論
全国高校サッカー決勝で闘う青森山田と流通経大柏の選手=埼玉スタジアムで2019年1月14日

「スポーツは健康にいい」はどこまで本当か

 一般に、スポーツは健康増進につながると言われている。だがスポーツにもいろいろある。  ある説では、多くの動物の一生の心拍数は20…

超高齢化時代を生きるヒント
ノーベル医学生理学賞受賞が決まり、記者会見する本庶佑・京都大高等研究院特別教授(左から2人目)。オプジーボへの関心も広がった=京都市左京区で2018年10月1日

がん患者の最後の時間を奪う「悪質免疫療法」

 私があるご家族から相談を受けたのは、講演会が終わってすぐのこと。70代と思われるご婦人が声をかけてきて、こう言いました。「息子が…

旅と病の歴史地図
衆院法務委員会での外国人労働者の受け入れを拡大する入管法改正案の採決に対し、葉梨康弘委員長(中央)に詰め寄り阻止しようとする野党議員たち。右端は与党議員たちに賛成起立を促す自民党議員=国会内で2018年11月27日、川田雅浩撮影

外国人労働者増加時代に必要な“新感染症政策”とは

 マラリアは世界の熱帯や亜熱帯地域で流行している熱病です。病原体を持った蚊(ハマダラカ)に刺されると感染し、高熱、寒気、頭痛などの…

医をめぐる情景
 

巨人&小人化の幻覚「不思議の国のアリス症候群」

 ◇小説(童話)「不思議の国のアリス」(1865年) 白ウサギの後を追ってとんでもなく深い穴に落ちた少女アリスは、奇妙で不思議な冒…

人類史からひもとく糖質制限食

糖質含むカロリー制限食では糖尿病を防げない?

 福岡県久山町は、福岡市の東に隣接する人口約9000人の町です。九州大大学院のチームが1961年以来、40歳以上の町民を対象に脳卒…

Dr.林のこころと脳と病と健康

演技性パーソナリティー障害のうそが肥大する土壌

 ◇うそつきは病気か【5】 自分を実際よりよく見せるためにうそをつくのは、誰でもある程度までならすることです。ではそういう普通の人…

Dr.米井のアンチエイジング・セルフチェック チャートでわかる、あなたの機能年齢 北海道大学COI×医療プレミア