記者コラム 時の足音

オウム処刑と天皇制

    松本智津夫死刑囚が収容されていた東京拘置所=東京都葛飾区で2018年7月6日午前9時16分、本社ヘリから小川昌宏撮影
    松本智津夫死刑囚が収容されていた東京拘置所=東京都葛飾区で2018年7月6日午前9時16分、本社ヘリから小川昌宏撮影

     「オウム事件は平成を象徴する事件。平成のうちに区切りを付けるべきだ」--。オウム真理教の教団トップら7人の死刑が一斉に執行された後、なぜ今なのか、という疑問に対し、新聞各紙が異口同音に報じた「法務省幹部」の説明が引っかかる。確かに平成の間に起きた最も凶悪な事件の1つに違いないが、その処刑を平成のうちに終わらせるという理屈は、もっともらしいようで、よく考えれば合理的な根拠はない。

     昨年12月の皇室会議で天皇陛下の退位が来年4月30日と正式に決まり、世の中には平成時代を回顧する機…

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    プロフィール

    伊藤智永

    伊藤智永

    編集委員兼論説委員

    記者歴30余年。平成の日本政・官界を担当してきた。ジュネーブ特派員として2010年、アラブ民主革命やギリシャ経済危機の現場を歩く。毎日新聞にコラム「時の在りか」連載中。著書に「靖国と千鳥ケ淵」(講談社+α文庫)「忘却された支配」(岩波書店)他。