レギュラー 玉木雄一郎「新しい政治」

地方は「法人税・所得税ゼロ」に 「ひも付き補助金」は全廃

    玉木雄一郎氏=根岸基弘撮影
    玉木雄一郎氏=根岸基弘撮影

     今年は明治150年だ。経済成長の150年であると同時に、東京にヒト、モノ、カネを集中させ、東京で設計図を書いて、それを全国がまねをすれば幸せになるというモデルのもと、徹底的に中央集権を進めてきた150年でもあった。

     地方で人口減少が進み、存立さえ難しくなっている市町村が出てきている今、150年続いてきた中央集権のモデルを転換しなければならない。

    税金ゼロで企業も人も来る

     大蔵省、財務省で予算に関する仕事もしていたが、自分の家の前の道路や河川の工事について、いちいち東京に来て霞が関、永田町を走り回らなければならない。あまりにも非効率だ。

     地域のことは地域で決めたほうがいい。「ひも付き補助金」を全廃し、全額、交付税交付金化すればよい。

     地方の現場を知らない中央官僚や政治家が、なんでも全国単一の基準で決めること自体が、無駄を生んでいる。

     さらに、地方分権を本当に実現しようと思うならば、税の体系、社会保障も含めた国の支出の体系も大きく変える必要がある。

     例えば、思い切って地方では法人税も所得税もゼロにしてはどうか。

     実は、麹町税務署(東京都千代田区)の1署で集める税収のほうが、四国4県を管轄する高松国税局(高松市)に集まる税収より多い。

     法人税や所得税はどうしても都会に偏在する。都会でお金を集めて中央から地方に「配ってあげる」という発想のままでは、どうしても地方は中央に「お金をください」と言う立場に置かれ続ける。

     むしろ、法人税、所得税を限りなくゼロに近づければ、海外からも国内からも、企業も人も地方に移ってくる。

     そして、地方では地域による偏在性が少ない消費税を税収の柱にする。思い切った発想の転換が必要だ。

     もう一つ可能性があるのは、岡山県西粟倉村で取り組んでいるような、地方の自治体による「仮想通貨」を利用した資金調達手段(ICO)だ。最新の技術を使い、知恵と工夫によって、地域で独自に財源を生み出していく取り組みを制度的にも応援する仕組みを作っていきたい。

    新「田園都市国家構想」

     私の地元、香川県の先輩である大平正芳元首相が掲げた「田園都市国家構想」というものがある。都会の快適さと田園の安らぎを融合したいというコンセプトだが、大平内閣(1978年12月~80年7月)当時には実現できなかったことが、今、技術の発展によって今こそ、できるようになったと考えている。

     一つ目は、インターネットの発達によって地理的な制約が少なくなってきている。これまで不利だった「東京との距離」が問題にならなくなり、逆に地方の住環境の良さが生きてくる。

     二つ目は、再生可能エネルギーだ。再生エネはその性格上、地方で生みだし、地方で消費できる。

     たとえば、農業を継続したまま太陽光発電を行う「ソーラーシェアリング」などは、農業をしながら売電が可能で、地方でこそできる収益モデルになりうる。

     三つ目は、地方とアジアをつなぐ港湾と空港を整備し、民営化して効率的な運営を行う。格安航空会社(LCC)が乗り入れれば、東京に行くよりも上海に行くほうが安くなる。

     すべて東京経由で、という発想を変えれば、市場はアジアのほうがずっと大きい。

    人口減少でも幸せと豊かさが減らない社会

     こうした地方の可能性を生かすことで、人口が減少しても幸せと豊かさは減らない社会にしたい。私はスマートシュリンク、「賢く縮む」という言い方をしている。

     具体的には、税制優遇などの政策誘導を使って、居住地域と非居住地域を分け、コンパクトシティー化を進める。

     高齢者向けの集合住宅を整備し、医療や介護サービスを集中的に整備する。事実上の現物給付を行うことで、最低限の衣食住を保証して生活不安をなくし、ついのすみかにしてもらう。

     一方で、高齢者の足としてライドシェア(乗用車の相乗り)と自動運転を取り入れて、移動困難者をゼロにしていく。

    自民の「地方創生」は東京主導

     自民党の「地方創生」は、結局は東京が決めたことに従えという点ではこれまでと何も変わらない。

     地方創生交付金も、政府が認定してお金をつける。そのためには東京に出て行かなければならない。

     東京で何が決まるのか、次の補正予算ではどういう補助金がつくか、そんなことをいつも考えているようでは地方は衰退するだけだ。

     人口減少社会ではすべてがバラ色というわけにはいかない。中央ができることは限られてくる。その現実は正直に語りながら、戦略的に乗り越えていく制度、仕組みを地方が持てるようにすることが大事だ。

     自民党のトップダウンに対して、我々はボトムアップでいきたい。

     最近は方言を話すアイドルが普通になってきた。昔はアイドルは共通語(標準語)を話すことが前提だったが、今は魅力的な方言を話すことが自然になっている。

     受け取る側も変わってきているし、地方の側にもプライドが出てきている。地方の力をくみ取るボトムアップの制度を作りたい。

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    プロフィール

    玉木雄一郎

    玉木雄一郎

    国民民主党代表

    1969年生まれ。93年大蔵省入省。2009年衆院初当選。民主党政調副会長、民進党幹事長代理、希望の党代表などを歴任。衆院香川2区、当選4回。早くから民主党若手のホープとして知られた。実家は兼業農家で農政通でもある。