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<社民>ソーシャルビジョン3つの柱

社民党
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 社民党は、結党以来、「護憲」の老舗として、憲法を守り、活(い)かす政治を掲げてきた。安倍晋三首相が自民党結党以来の党是だとして「改憲」を打ち出したことに対し、「護憲」の意地と底力で、全面的に対決していく。

 社民党はまた、日本で唯一の社会民主主義を掲げる政党である。バブル崩壊以降、日本では新自由主義・新保守主義の潮流が跋扈(ばっこ)してきたが、社会民主主義こそが対抗軸であることに確信を持っている。「平和・自由・平等・共生」を掲げる社会民主主義は、平和憲法の理念とも一致する。

 社民党は、今回の参院選における公約として、「ソーシャルビジョン3つの柱」を発表した。概要は、以下の通りである。

(1)「社会を底上げする経済政策」に転換します。

 「アベノミクス」、いわゆるトリクルダウンの経済政策は失敗である。大企業や富裕層を優遇するアベノミクスにより、人々の生活は疲弊している。こうした状況で、低所得者に負担を強いる消費税増税を実施することは、断じて容認できない。

 法人税・所得税など税制全体をパッケージとした税制改革を行い、格差や貧困の連鎖を食い止めるためにも、「所得再分配機能」や「応能負担原則」を取り戻すべきである。

 また、最低賃金については、「大都市一極集中」や「大都市と地方の格差拡大」を是正するため、「地域別」から「全国一律」に転換し、時給1000円、1500円を目指していく。同時に、中小・小規模企業への支援も一体的に拡充していく。

 社会の底上げに必要なことは、社会保障を拡充し、セーフティーネットを強化することだ。焦点の年金については、支給削減をやめさせ、特に基礎年金部分にかかる「マクロ経済スライド」を直ちに中止しなければならない。

 国民年金の平均支給額・受給額は、「マクロ経済スライド」により3万円台にまで落ち込むことが想定され、これでは憲法25条が保障する健康で文化的な最低限度の生活を営む権利は守れない。

 さらに、新自由主義の下で進められてきた労働法制の規制緩和を転換し、むしろ労働者の「賃金」が下がらず、労働者が有利になるよう規制強化すべきだ。

 さらに、バブル崩壊以降、席巻した新自由主義の最大の犠牲者は、今や40代となっている「ロスジェネ世代」である。就職氷河期の中で社会に出た人たちに対し、特に重荷となっている家賃への補助など住宅支援や、当事者参加の下で総合的な支援策を講じていくべきだ。

(2)「平和と平等の共生社会」をつくります。

 護憲政党の老舗として、憲法改悪は断固許さない。さらに、平和憲法に基づく外交安全保障政策の実現は譲れない。

 社民党の外交政策の方針は、アジア外交の指針を打ち出した「村山談話」、故・土井たか子元党首が発表した「北東アジア総合安全保障機構の創設」などを盛り込んだ「土井ドクトリン」である。

 対立をあおる安倍外交を転換し、平和と共存の北東アジアをつくることを目指す。また、辺野古新基地建設については、県民投票も実施し、沖縄の民意は何度も示されており、新基地建設に断固反対だ。さらに、日米地位協定についても、全面改正を求めていく。

 また新保守主義の台頭により、ヘイトスピーチが蔓延(まんえん)している。こうした中で、安倍政権は、入管法の改悪を、強行採決で行った。そこには「安価な労働力」としての視点しかなく、外国人労働者を、地域社会を構成する一員として迎え入れる制度とはなっていない。「外国人技能実習制度」を抜本的に見直し、「多文化共生社会」の実現を訴えていく。

(3)脱原発で、「持続可能な地域社会」をつくります。

 社民党は、社会党時代から「核と人類は共存できない」として、「脱原発」を掲げてきた。安倍政権が「成長戦略」として位置付けてきた原発輸出から撤退するとともに、既存原発の廃炉を実現していく。また、省エネ・再エネの拡大を、イノベーション、雇用創出や内需拡大、地域振興につなげていく。

 さらに、アベノミクスにより、都市と地方の格差が拡大しているが、不要不急の公共事業やカジノや大企業の「誘致」に頼る地域振興策は、結局その利益を大都市圏や海外に本社を置く企業に吸い取られ、地元でおカネが回る仕組みの形成を阻害する。

 エネルギーを含めた「地産地消」を推進し、地域で循環する経済を構築していくことが必要だ。

 その際、重要となるのは農林水産業の再生である。大規模農家優遇に偏重し、第1次産業を単に金儲(もう)けの手段としか見ない安倍政権の「農業改革」「成長戦略」は、大部分の農林水産業を切り捨てるものに他ならない。

 農業者戸別所得補償制度を復活し、法制化と畜産・酪農や果樹・野菜などへの対象拡充を進め、水田の多面的利用の推進などで、早期に「食料自給率50%以上」を目指す。

 以上が、「ソーシャルビジョン3つの柱」である。護憲政党としての老舗の意地と底力で、「ソーシャルビジョン」を実現し、自己責任ではなく「支えあう社会」をつくることを目指していく。

 吉川元・社民党幹事長兼政審会長

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