少子化問題に取り組む「ゼロから考える少子化対策プロジェクトチーム(PT)」(主宰・小渕優子少子化対策担当相)の第2回会合が2月24日、内閣府で開かれた。テーマは「若者の雇用と自立支援」。就職難など若者の厳しい経済事情と少子化との関係を議論した。国内・海外の若者のライフスタイルに詳しい宮本みち子放送大学教授と、青少年就労支援NPO「育て上げ」ネットの工藤啓理事長からのヒアリングと、プロジェクトチームメンバーとの質疑応答があった。

PTメンバーは、NPOファザーリング・ジャパン代表理事の安藤哲也さん、経済評論家の勝間和代さん、第一生命経済研究所主任研究員の松田茂樹さん、日本テレビ解説委員の宮島香澄さん、東京大学社会科学研究所教授の佐藤博樹さん。この日の進行は松田茂樹さんが務めた。
宮本さんは、主に北欧の政策と比較したうえで4点を提言。(1)若年ワーキングプアの防止=いかなる雇用状態になっても最低限の生活は守られる所得水準や制度の構築(2)職業訓練を受ける権利の確立=失業者中心ではなく、就学と就職の間を取り持つような普遍的な施策(3)共働きが可能な環境条件の整備=だれもがたやすく妊娠・出産・育児を乗り切れるような施策や社会的認知(4)若者総合政策=ピンポイント支援ではなく、ライフステージの中で長く広く安定したサポート--が必要だとした。
工藤さんは、家庭環境や病気など複合的な事情がある若者や児童福祉法で保護されている年齢を超えた若者への支援が難しい▽若者を支援している者への支援も必要--などの課題を挙げたうえで、人的・金銭的・制度的なサポートが必要だが、きめ細かな視点や見直しをいとわない思い切りのよさも不可欠だとした。
◇教育機関への支援も
2氏の話を受け、勝間さんから、「若年層は差別されている?」「若者の雇用・自立対策に予算をとるには?」と質問があった。
宮本さんは「欧州ではあらゆる場面で若年層の意思を聞かなければならないという。法律で定められているところもある。日本の次のステップは、事業決定の際に若者の意見を聞くことだ」「欧州の福祉国家では、公的な資金のもと教育プログラムを運営している。日本で今後仕事に就けない若者が数百万単位で出てきた場合、すべてを親にゆだねてよいものだろうか」と述べた。

続いて佐藤さんから「日本は学校を卒業したあと、そのまま職場に若者支援が引き継がれた。では中退者の対応は?」「宮本さんの調査を聞いて驚いたが、若者は共働きは普通と思っているようだが、出産したら妻は働き続けられないと考えているようだ。これはなぜか?」などの質問があった。
工藤さんは「中退してしまうと追いにくくなるが、まず保健室登校の生徒に対して公的機関はサポートしてほしい」「育休制度は若い人はあまり知らないのでは。高校によっては、生徒を静かにさせるだけで10分かかったりする。働くことについて説明はしても、授業時間内で育休まで説明に踏み込む時間や余裕はない」と現場の厳しさを訴えた。
一方、宮本さんは「フィンランドでは若者は職業安定所に登録するのが当たり前。職業高校の充実、職業学校に対する評価の高さも日本とは違う。日本は普通科が当たり前になっているが、実業系の学校をもっと評価するべきだ」「地方では仮に結婚して共働きしても、出産したら働けない。驚くほど産休・育休は進んでいない。不景気の中、正規・非正規の別なく環境はきわめて悪い」と紹介し、少子化の原因の一つに不景気があると指摘した。
松田さんは「経済界は、支援はできるだけローコストでと思うかもしれないが、若者の雇用実現や自立までにお金も時間もかかるという。それはなぜか」と質問。
工藤さんは「個々の性格も違い、慣れるまで時間がかかる子もいる。また、障害者でなくても病気や被虐待経験者、家庭環境の違いなどによっても、職場でできる作業とそうでない作業がある。いったん就職しても脱落しては元も子もない。働き続けられるようになるまで、長くサポートが必要な子もいる」と若者を一律にとらえることはできないと強調した。
◇地方も都会も厳しい
安藤さんが「父親支援と若者支援は似ているところがある。父親は何をしているのだろう」と向けると、工藤さんは「就労相談に来る7割は母親。父親はほとんど来ない。来ても自分の意見を確認したり押し通そうとしたりする」と明かし、日本の父親は子どもに対する接し方や社会への導き方が不器用なのではないかと示唆した。
地方の厳しさについてはさらに言及があった。宮本さんによると、地方では地元を出ていく人と出ない人の2種類がいる。出ない人には、生活状況が厳しくて出られない人と、希望の生活をしたいから出ないという人がおり、出ていく人には、親の所得が高く出られる人と、親の所得が低く出ていくしかない人がいるという。「地方へは雇用創出を含めた支援が必要だ」と宮本さんは重ねて主張した。
雇用創出に関して、工藤さんは「都会でも雇用の食い合いがある。若者のための就労機会を作ろうとすると、シルバー人材センターなどと事業がぶつかる。シルバーと若者とがチームで活動できればいいのだが」と提案した。
最後に小渕担当相は、(1)少子化対策はどちらかというと妊娠・出産が中心だったがそうでもないのではないか(2)若者支援は点ではなくライフステージのうえでとらえていく必要があるのではないか(3)若者支援は若者対象だけでなく支援者も対象に含めた包括的な支援が必要なのではないか(4)若者の実態を正確にとらえる必要があるのではないか--と述べ、「これまでの認識を改めないといけないことがわかった」と語った。【浜田和子】
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