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映画:「谷中暮色」焼失の五重塔描く 下町の象徴再建願い

谷中霊園に残る五重塔の礎石の前で映画への思いを語る舩橋さん=東京都台東区で2009年10月28日午後4時29分、松本光央撮影
谷中霊園に残る五重塔の礎石の前で映画への思いを語る舩橋さん=東京都台東区で2009年10月28日午後4時29分、松本光央撮影

 幸田露伴の名作「五重塔」のモデルで、1957年に焼失した東京都台東区谷中の五重塔の再建を願う地元住民らが出演する映画「谷中暮色」が、新宿区の「シネマート新宿」で上映されている。在りし日の塔を懐かしむ住民の証言とともに、塔が炎上する当時の映像も収めてある。再建運動の関係者は「谷中の五重塔を知ってもらえるいい機会だ」と話している。

 下町の雰囲気が人気を集めている谷中。五重塔は谷中霊園の中にあり住民に親しまれていたが、57年7月の放火心中で炎上。焼失から半世紀たった07年、地元商店街を中心に再建を目指す署名運動が始まった。同じころニューヨークから谷中に移り住んだ監督の舩橋淳(ふなはしあつし)さん(35)が五重塔への思いを語る住民のインタビューを撮り始めたのが映画製作のきっかけとなった。

 「谷中暮色」は、若い男女が地元の郷土史家や住民らを訪ね歩いて炎上する五重塔のフィルムを探すストーリーに、かつての宮大工が塔建築に執念を燃やす時代劇をかぶせ、世代を超えたきずなを描いた作品。当時の消防団副団長が撮影した塔が炎上する映像も収めてある。今年2月のベルリン国際映画祭にも正式出品された。

 舩橋さんは「時代とともに移り変わるものと、変わらずに谷中の精神的シンボルである五重塔を描いて、下町ブームの裏側を見つめたいと思った」と語る。映画にも出演し、再建運動にかかわる谷中地区町会連合会の野池幸三会長は「五重塔を知ってもらうことで運動にはずみがつけばうれしい」と話す。

 シネマート新宿で連日午前11時10分から上映。当日は一般1800円、大高校生1500円、小中学生、シニア1000円。11月3日は上映後に人類学者の中沢新一さんと舩橋さんのトークショーもある。問い合わせはシネマート新宿(03・5369・2831)。【松本光央】

毎日新聞 2009年11月2日 11時43分(最終更新 11月2日 12時49分)

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