農産物検査法に基づいて新米に等級付けをする検査について、農家から「見た目が重視され、余計な農薬を散布せざるを得ない状況を生み出している」との批判の声が上がっている。カメムシに吸われて褐色の斑点ができた「斑点米」が混じると、食味にはほとんど影響がないのに等級が下がり、価格も下がってしまうためだ。農家らで組織する市民グループは近く、農林水産省に検査の基準見直しを求める要望書を提出する。
農産物検査法による等級は、流通を円滑にする目的で1951年に定められた。検査は義務ではないが、国の補助金を受けたり商品に産地や品種などを表示する場合には受ける必要がある。
検査は同法に基づく登録検査機関が実施。カメムシに由来する斑点を含め、色がついていないかどうかや、粒のそろい具合、異物の混入の有無を目で確認する。このうち、色については▽色がついた粒の割合が0.1%(1000粒のうち1粒)以下なら1等米▽0.3%以下は2等米▽0.7%以下は3等米▽それ以上は規格外--と分別される。
コメ情報調査会社「米穀データバンク」によると、1等米は2等米に比べ60キロ当たりで約600円、3等米に比べると約1600円高く取引される。このため、除草剤やいもち病を防ぐ農薬に加え、生産者はカメムシ対策の農薬を1~3回散布する場合が多いという。
農水省によると、斑点米の原因をつくるカメムシは十数種類いて、昨年度は全国の水田計57万ヘクタールで発生したとみられている。しかし、斑点米になっても安全性に問題はなく収穫量が減ることもない。味もほとんど変わらないという。
要望書を提出する秋田県大潟村の農家、今野茂樹さん(55)は「食の安全・安心が考慮されておらず、現行の検査は消費者にとってもよくない。過剰な農薬散布は環境破壊にもつながりかねない」と指摘する。
農林水産省消費流通課は「色の着いた米が混じれば消費者から苦情が来る。等級は取引の目安になるもので、流通業界から必要との声が寄せられている」として、見直しには慎重姿勢だ。【奥山智己】
毎日新聞 2009年11月6日 15時00分(最終更新 11月6日 15時57分)