【モスクワ大前仁】昨夏に起きたロシアとグルジアの軍事紛争をテーマにした米ハリウッド映画の撮影が始まった。紛争をめぐる両国の対立が続く中、製作者は「どちらの国にも肩入れをしない反戦映画を作る」と説明するが、ロシア側は映画が“反露キャンペーン”に利用されることを懸念している。
映画の仮題は「Georgia」(グルジアの英語名ジョージア)。主人公の米国人記者がグルジア紛争を取材する過程で、「公正な報道」や「紛争地におけるサバイバル」などの問題に直面する様子を描く作品という。「ゴッドファーザー3」などに出演した米男優アンディ・ガルシアさんがグルジアのサーカシビリ大統領を演じ、今月中旬には実際にトビリシの大統領府でロケが行われた。
フィンランド出身のレニー・ハーリン監督は米メディアに対し「私自身も小国出身で、(ロシアと隣接する)小国がどのような目に遭うのかを知っている。グルジアはその一例に過ぎない」と述べ、大国ロシアと衝突したグルジアの混乱と苦悩を描く意図を説明している。映画は来春公開予定。
一方、ロシアでは、紛争発生当初に欧米メディアがグルジア寄りの報道をしたことに対する不信感が今も根強く残る。露政府紙「ロシア新聞」は同作品について「ハリウッドはサーカシビリ政権の宣伝に関与している」と批判的な見方を示している。
毎日新聞 2009年10月30日 東京朝刊