【ワシントン大治朋子】米南部テキサス州のフォートフッド米陸軍基地で5日午後1時半(日本時間6日午前4時半)ごろ、乱射事件があり、AP通信によると米兵ら12人が死亡、31人が負傷した。警察は陸軍少佐のニダル・マリク・ハサン容疑者(39)を現場で逮捕した。同容疑者は現場で負傷し、病院に運ばれた。兵士と家族ら計7万5000人が暮らすこの基地は陸軍最大規模で、アフガニスタンやイラクに派兵している。犯行の動機や共犯関係は分かっていない。
AP通信などによると、米軍基地で米兵が同僚を殺害した事件としては「過去最悪規模」。ハサン容疑者は基地の医療施設で精神科医として兵士のカウンセリングなどにあたっていた。
ハサン容疑者は午後1時半ごろ、イラクやアフガニスタンへの従軍を控えた兵士や帰還兵が身体検査などを受ける基地内の施設で、銃2丁を乱射。現場から約50メートル離れた講堂にいた市民の一人は米メディアに「銃声が聞こえ、背後から米兵たちが、乱射だ、(犯人のいる後方に)近づくな、と叫ぶ声が聞こえた」と話した。
オバマ大統領は事件後、「米国内の基地で、兵士が銃火を受ける恐ろしい事件が起きた」と述べた。
米紙ニューヨーク・タイムズによると、ハサン容疑者の両親は中東出身。容疑者自身は米南部バージニア州出身で、米国籍を持ち独身。首都ワシントンにある米陸軍病院から最近、フォートフッド基地に異動した。戦地に派遣された経験はないという。
地元選出の米上院議員は米CNNテレビの取材に対し、「ハサン容疑者は最近、イラクかアフガンへの従軍を命じられ、不満を抱いていたと(米軍関係者から)聞いた」と話した。イスラム教徒で、仲間の米兵にいやがらせを受けていたとの証言や、イラクやアフガンでの戦争に批判的で、弁護士を雇って派遣命令に抵抗していたとの情報もある。
AP通信は法務当局者の話として、ハサン容疑者が少なくとも半年前に、インターネット上のブログで自爆テロなどについて記述していたとみられる、と報じた。同容疑者が作者かどうか確認中という。
フォートフッド基地はテキサス州南部の州都オースティンの北約130キロ。敷地面積は約850平方キロで兵士約5万7000人とその家族約1万8000人が暮らしている。治安当局は事件直後、基地を封鎖した。ホワイトハウスは危機管理センターで情報を収集。連邦捜査局(FBI)も捜査に乗り出した。
毎日新聞 2009年11月6日 東京夕刊