第81回選抜高等学校野球大会

 

センバツ高校野球大会

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高校野球は今:監督アンケートから/下 「暴力」「体罰」現場の苦悩

 ◇打算的な教師が増加 生徒は過保護で弱い

 日本高校野球連盟は毎月1回、審議委員会を開き、不祥事について審議する。部員同士や指導者の暴力で処分を受ける学校は後を絶たない。センバツ出場校の監督の多くは、暴力・体罰を「あってはならないこと」と認めつつ、今の教育が抱える問題にも言及する。

 慶応・上田誠監督は「昔のおやじのゲンコツが日本の教育からなくなったらどうするのか。マスコミや周囲の目ばかり気にして選手との距離を置く、打算的な教師が増えている。日本の教育が心配」と指摘。倉敷工の中山隆幸監督は「世の中が段々と悪い方に行っているようにみえる。何か対策を取らないと、日本の危機がやってくるように思う。若者たちに世の中の厳しさ、やりがいのある人生、礼儀作法などさまざまなことを覚えさせる良い方法がないかと私なりに考えている」と苦悩を吐露する。

 背景には、子供たちの変化があるようだ。「最近の子供を指導する上で最も難しいこと、気を使うことは」との質問に対して、多くの監督が親子関係の変化を指摘した。

 花巻東の佐々木洋監督は「過保護で育った選手が多く、弱くなってきている」とし、中京大中京の大藤敏行監督も「親と子の関係が昔と違うので、一般常識から教えないといけない」と嘆く。掛川西の上村敏正監督は「少年野球時代から応援を受け、親の期待に応えたいと思うと失敗が怖くなり、自分を守ってしまう。その積み重ねが消極的なプレーやここ一番での精神面での弱さにつながっている」とみている。

 心身の弱さを指摘する声は多い。前橋商の富岡潤一監督は「すぐにあきらめ、うまくいかないと他人のせいにする傾向がある。いい意味でのガキ大将がいなくなった」とし、箕島の松下博紀監督は「自分の感情や思いを表に出せない選手が多くなってきた」と精神面の変化を挙げる。天理の森川芳夫監督は「練習量が多くなくてもすぐに故障する選手が多い」と肉体面の変化に触れた。

 利府の小原仁史監督は「どの親も甘やかし、でたらめを覚えさせようと手を尽くすわけではなく、頑張ってほしい、たくましく育ってほしいと思っているはず。しかし、ついつい過保護、過干渉になる。そういう子を学校や野球部の活動を通して自立させる」と答えた。これが、現場に立つ多くの監督に共通する思いなのだろう。

毎日新聞 2009年2月28日 東京朝刊

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