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毎日新聞・立命館大「インターネットと政治」共同研究 巻頭言

西田亮介(立命館大学特別招聘准教授)

毎日新聞「インターネットと政治」取材班

 選挙において、有権者は、政治家や政党、そして明日の政府をどのような理由で選んでいるのだろうか。また候補者や政党は、有権者に対して、何を訴えかけているのだろうか。

     私たちは2014年衆院選を「イメージ政治」をキーワードに、ネット選挙の分析に取り組む。問題意識はこうだ。今回の衆院選は、唐突に解散が決まったことではじまった。解散の大義についても議論が交わされている。そのような状況で政策について吟味し、十分に議論する時間的余裕があったとも思えない。取材班で議論を重ね、このような政治状況のなかで政治家は政策ではなく、「イメージ」を中心に情報発信を行うのではないか。有権者は政治に対してポジティブな感情を持てないまま投票するのではないか。果たしてそれは私たちが望む政治なのか、という問題意識が浮かび上がってきた。

     政治参加のもっとも直接的で、象徴的な機会である選挙において、人々は政治に対してどのような感情を抱き、候補者と政治家は、何を訴えようとしているのだろうか。両者を繋(つな)ぐインターネットも含めたメディアはどのような役割を果たしているのだろうか。

     日本では、2000年代前半の小泉政権以後、政治への感情的動員と政治マーケティングの手法の高度化が指摘されるようになった。「イメージ」に基づいた動員、つまり「イメージ政治」の始まりである。政治学者の吉田徹氏(北海道大)が『感情の政治学』(講談社)で指摘するように、有権者の感情に訴えかけるポピュリズムや動員は必ずしも政治にとってネガティブな存在とも言い切れない。イギリスやアメリカでは、もう一歩踏み込んで、政策に行動経済学的知見を導入し、国民の「自発的」参加を促す動きもある。健全な「イメージ政治」やポピュリズムが機能するためには、政治技術の高度化とともに、ジャーナリズムと報道技術の高度化も欠かせないはずだ。

     14年衆院選はひとつの転機である。13年参院選から解禁された「ウェブサイト等を用いた選挙運動」、いわゆる「ネット選挙」が適用される衆院選だからである。今回も多くの政治家や政党がウェブサイトやソーシャルメディアのアカウントを開設し、選挙運動期間中も情報発信を続けていくことだろう。

     多くの政党は、選挙が近づくとマニフェストを通してさまざまな政策を提案している。だが、大抵、それらは長大なリストで、必ずしも分かりやすいものでもない。インターネット上の政治家や政党の情報発信を調べてみると、政策についての情報発信を行っていることは稀(まれ)だった。その大半は応援演説の日時や場所、イベント参加の写真、自身のウェブサイトの更新情報だったことはこれまでの共同研究で明らかになっている。これまでの共同研究は以下の通り。13年の参院選、14年の東京都知事選挙

     インターネットの定量的な分析だけでなく、世論調査、ボートマッチサイト「えらぼーと」などとも連動した共同研究と報道を、選挙運動期間中に紙面とウェブの双方で展開する。取材による個別事例にも注目したい。従来の動きにとどまらないインターネットとリアルをつなぐ新しい動きが生まれるか否かも探っていく。

     さまざまな意味で、新しい挑戦である14年の衆院選、ネット選挙を捉え、インターネットと日本政治の今後を展望するために必要なものを提示していきたい。

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