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政見放送に手話や字幕ないまま

2010年の参院選で開かれた、手話通訳付きの政見放送を見る会=宮間俊樹撮影(一部画像を処理しています)

 参院選選挙区のテレビの政見放送に手話通訳、字幕が付けられない状態が続いている。6月に閉会した通常国会で政見放送の聴覚障害者対策が議論されたが、各党の意見がまとまらず、実現しなかった。厚生労働省の2011年の調査によると、聴覚障害者は全国に約24万人いると推計される。識者や障害者団体は「聴覚障害用の通訳がないのは不公平で、早急に見直してほしい」と改善を求めている。

 政見放送は元々衆参ともNHKなどの放送局で収録する「スタジオ録画方式」だったが、小選挙区比例代表並立制が適用された96年衆院選から、小選挙区だけは政党が独自に収録したものを放送局に持ち込める「持ち込み方式」が認められるようになった。小選挙区制が政党本位の政治を目指して実施された制度だったからだ。持ち込み式のため、手話、字幕とも政党の判断でつけることができる。

 スタジオ式が手話、字幕を禁止しているわけではない。参院選挙区で実現しないのは、各選挙区の放送を収録するには政治用語に精通する通訳者が足りず、放送局側も字幕をつける態勢が整わないためだ。手話通訳や字幕がある候補者とない候補者がいては公平ではないので、一律に認めていない。

 参院政治倫理・選挙制度特別委員会は今年に入り、小選挙区のような持ち込み式の導入について議論。全会派が手話、字幕付きには賛成したものの、条件で折り合わなかった。

 放送内容について自民などは「商業目的だったり、不適切な内容を含む可能性がある」として、政党要件を満たす政党の公認、推薦の候補者に限定するよう提案。共産が「無所属の候補者は持ち込みができず、選挙の平等に反する」と反対した。妥協案も示されたが、規定を定めたり周知したりする時間がなく、今回の選挙はスタジオ式のままになった。

 これに対し、全日本ろうあ連盟の中橋道紀理事は「政見放送に手話がつけば聴覚障害者の参政権がより一層保障される。見送りは残念でならない」とコメント。元自治省選挙部長で早大大学院の片木淳教授(選挙制度論)は「聴覚障害者の参政権の基本にかかわる問題だ。放置するのは国会の怠慢。早急に制度を改善すべきだ」と指摘している。【山崎征克】

 【ことば】政見放送

 公職選挙法に基づく放送。参院は1947年、衆院は49年の選挙からラジオで始まった。候補者は決められた回数をテレビ、ラジオで無料で放送できる。1回当たりの時間は参院選挙区は5分30秒、参院比例代表は17分。2013年参院選での関東地区の平均視聴率はNHKで最高5.6%、最低0.4%だった(ビデオリサーチ調べ)。

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