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都知事選

論争なく、都民置き去り…立候補断念の宇都宮氏

宇都宮健児氏=竹内紀臣撮影

 7月31日に投開票された東京都知事選で主要候補者の一人になると目されていた元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(69)が毎日新聞の取材に応じ、告示前日に立候補を断念した経緯を明らかにした。ジャーナリストの鳥越俊太郎氏(76)が出馬表明して野党4党が推す形となり「このまま選挙をすれば、市民運動が分断される恐れがあると考えた」と胸中を語った。

 2014年の前回選挙で共産、社民両党の推薦を受けて出馬し、100万票近くを獲得して次点となった。今回も舛添要一前知事が辞職した直後から準備にとりかかり、ポスターやビラも用意した。

 一方で民進、共産、社民、生活4党は宇都宮氏以外の統一候補を模索しながらなかなか決められず、告示2日前に立候補表明した鳥越氏を統一候補として擁立した。この間、宇都宮氏は民進、共産両党の幹部から、出馬を取りやめるよう断続的に説得されたという。

 「出馬辞退すべきだ」「早く降りろ」。選挙事務所にも多くの電話があった。電話主はこれまでの支持者もいれば、見知らぬ相手もいた。「市民運動と若い担い手を守らなければ」。支持者と議論を重ね、苦渋の決断をしたのは告示前日。自身も周囲も涙を流した。

 告示の7月14日、宇都宮氏の法律事務所の郵便受けに、切手の貼られていない1通の手紙が入っていた。差出人は23歳の専門学校生で、こうつづられていたという。「都知事選は権力争いでも、一人の人生のためのものでもない。私は自分の住むところを守る人を、自分の手で選びたい。なぜ民主主義と言いながら、選択の自由が無いのですか」。選択肢を減らす決断をしたことに胸が痛んだ。

 渦中に飛び込まないまま選挙戦は終わった。宇都宮氏は「都政について十分な政策論争がされなかった。都民が置いてけぼりの選挙戦だった」と残念がる。「これからの都政を議会傍聴などを通じて監視していきたい」と語った。【円谷美晶】

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