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社説

日本の岐路 衆院選がスタート 「よりまし」を問う12日間

 日本の大きな岐路となる衆院選が公示された。投開票は22日。それに向けた選挙戦が始まった。

     「与党の自民・公明」か。「希望の党・日本維新の会」か。「共産・立憲民主・社民」か--。

     選挙直前になって二つの新党が誕生し混迷してきた選挙の構図は、主にこの3グループの選択となった。

     安倍晋三首相が唐突に衆院解散に踏み切ったことから、各党とも準備不足は否めない。首相の足元の自民党の公約も急ごしらえだ。

     衆院の小選挙区は、二つの主要な政党が1議席を争う形を想定して導入された制度である。3極に分かれたことで、有権者の選択が複雑になったのは確かだろう。

     自民党を除く各党は過半数(233議席)を取れる十分な候補者を擁立しておらず、「政権選択」の条件が十分そろっているかも疑問だ。

    最大の争点「安倍政治」

     だが改めて指摘しておきたい。

     今回は安倍政権の約5年の実績をどう評価するのか、そして安倍政権が4年後の2021年秋まで続くことを是とするのか、しないのかが焦点だ。

     「安倍1強」状態が続く中、安全保障法制や「共謀罪」法はじめ、与党が数の力で強引に法律を成立させる国会運営が繰り返されてきた。

     加計学園や森友学園問題に見るように、行政のゆがみも見えてきている。内閣支持率の急落につながった両問題に対する安倍首相の説明は今も説得力を欠いている。アベノミクスに関しても評価はさまざまだ。

     北朝鮮情勢を「国難」と訴え解散した手法も含め、最大の争点は「安倍政治」そのものの是非である。

     安倍首相は自民と公明の与党で過半数を確保すれば政権を維持すると明言している。半数を1議席でも上回れば「政権は国民に信任された」と言うのだろう。

     しかし、そうだろうか。加計問題などを棚上げし、首相自身の保身を狙ったような衆院選だ。過半数を取っても大幅に議席を減らせば自民党内で責任を問う声は強まり、来秋の自民党総裁選で安倍首相(総裁)が3選されるのは難しくなるはずだ。

     つまり首相交代につながる可能性がある選挙だということだ。

     一方、希望の党は大きな焦点だった小池百合子代表(東京都知事)の出馬は見送られた。総選挙後の首相指名選挙で誰に投票するかは、結果を見てから考えるという。

     安倍政権を倒すという目標は明確だが、仮に安倍首相が退陣した場合には、自民党との連携も否定していないように見える。

     こうしたあいまいさは政権を担うとアピールしている政党として、有権者に対して無責任だ。

    希望はあいまいさ排せ

     小池氏は「安倍1強の政治をただすために有権者に選択肢を示す」と言う。そうであるなら、党として選挙後の対応をどう考えているのか、もっと具体的に示すべきだろう。

     そんな中、個別の政策では各党の違いが見えてきた。

     大きなテーマが憲法改正だ。自民党が引き続き勝利すれば、改憲論議は憲法9条の1項と2項を維持し、「自衛隊を明記した条文を追加する」という首相が提起した案を中心に進む可能性が高くなるだろう。

     希望の党は改憲自体には積極的だが、首相の自衛隊明記案には否定的だ。立憲民主党は今の安保法制を前提とした9条改正に反対している。

     消費税に関して自民党は再来年秋に予定通り10%に税率を引き上げるものの、増税分の一部を教育無償化などに充てると言う。対する希望の党と維新は消費増税の凍結を主張。立憲民主党も増税に否定的だ。

     原発政策は、希望の党が「30年までに原発ゼロ」と公約に掲げたことで争点に浮上してきた。立憲民主党と共産、社民両党も「原発ゼロ」で一致している。これが国民的議論につながっていくことを期待したい。

     沖縄県の米軍普天間飛行場の移設計画の是非も全国的に議論したい。

     暴言や不祥事が続き、議員の質の劣化が問題になっている。候補者本人を見極めるのも重要だ。

     今後、各党幹部や候補者が一方的に演説する場面が増えるだろう。何を強調するかだけでなく、何を語りたがらないかにも注目したい。

     「安倍1強」の継続か、自公政権の下での首相交代か、野党の政権奪取か。難しい選択だが、どんな政治状況になるのが、よりましなのか。私たち有権者は考えていきたい。

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