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社説

日本の岐路 衆院選きょう投票 「安倍1強」の継続か否か

 衆院選の投票日を迎えた。

     憲法改正や社会保障、経済・財政政策、外交・安全保障など多くの課題でこれからの日本政治の方向を決定づける可能性がある選挙だ。

     報道各社の事前調査では2014年の前回衆院選に続き、自民党が優位な情勢になっている。しかし調査時点で投票態度を明らかにしていない人は3~4割おり、接戦となっている小選挙区も多い。

     私たち有権者の1票は重い。ぜひ投票所に足を運んでもらいたい。

     改めて指摘しておきたい。

     今回は安倍晋三首相の1強体制が継続するのを是とするのか、しないのかが問われている衆院選だ。

     事前調査通りなら、安倍首相が来年秋の自民党総裁選で3選される可能性が強まる。その場合、安倍内閣はあと4年、21年秋まで続き、第1次内閣も含め在任期間は約10年に達して憲政史上最長となる。

    首相権限強化の副作用

     なぜ、この1強体制に至ったのだろうか。

     1990年代初めに進められた一連の政治改革は、衆院への小選挙区比例代表並立制導入とともに、内閣機能の強化を目指したものだった。

     各府省の縦割りを排して首相のリーダーシップを強め、迅速に政治課題に対応するという改革の目的が間違っているとは思わない。だが、そのひずみも見えてきたのが安倍政権の約5年間だった。

     内閣人事局が府省幹部の人事権を握った結果、官僚が自由にものを言えなくなっている。森友学園や加計学園の問題が象徴的だ。官僚が安倍首相らの意向をそんたくした結果、行政手続きがゆがんだのではないかとの疑問が今も消えない。

     小選挙区制導入により、自民党では候補者選定や資金配分の権限が党総裁や幹事長に集中した。活発な党内議論が著しく乏しくなっているのはそれと無関係ではないだろう。

     国会も軽視され、安全保障法制をはじめ審議が不十分なのに与党が強引に成立させる場面も目立った。

     安倍首相の実行力を評価する人もいるだろう。しかし権限強化の副作用は明らかに出ている。こうした権力のあり方を問う選挙でもある。

     異例ずくめの選挙戦だった。

     首相は「森友・加計問題の疑惑隠しではないか」との批判を受けながらも臨時国会で何の審議もせずに衆院を解散した。首相自らの都合を優先したのは間違いないだろう。

     一方、野党は小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党ができたものの、民進党候補者は分裂し、立憲民主党が急きょ発足。結局、「自民・公明」「希望の党・日本維新の会」「共産・立憲民主・社民」の3極が争う構図となった。

    それぞれの尺度で選ぶ

     小選挙区制は二つの主要政党が1議席を争う形を想定している。戸惑う有権者が多いのは当然だろう。

     安倍内閣の支持率は依然、低迷している。毎日新聞の世論調査によれば、衆院選後も安倍首相が首相を続けることについて「よいとは思わない」と答えた人は47%。「よいと思う」と答えた人の37%を上回った。

     にもかかわらず自民党が優位な情勢になっているのは、小選挙区制の下で野党が分散した理由が大きい。ただし決められたルールに基づいて行う選挙の結果によって進められていくのが民主政治の基本である。

     自民党が勝利すれば、憲法改正の議論は首相のペースで急速に進む公算が大きい。経済政策でも特に地方で不満の声が強い今のアベノミクスの方向は変わらないだろう。原発などエネルギー政策も同様だ。国会運営も変わらないかもしれない。

     衆院選の投票率は、ともに自民党が大勝した前々回の12年が59%、前回が52%と2回連続で戦後最低を更新した。有権者の半数近くが棄権する状況は民主政治の危機と言える。

     この低投票率の下で生まれた「安倍1強」でもある。棄権するのは、結果的には政権に白紙委任するのに等しいことも忘れずにいたい。

     確かに今回の選択は難しい。しかし選ぶ方法はさまざまだ。自分が望ましいと考える政治状況に少しでも近づけるために投票する方法もある。最も関心のある政策で自分の考えに一番近い党や候補者を選んだり、候補者の人となりに重きを置いたりするのもいいだろう。

     選挙は有権者が政治に関わる最も重要な場だ。今回初めて総選挙で投票する18、19歳を含め、それぞれの判断で大事な1票を投じたい。

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