「パーツを削っている時は無心になれる」
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ガンダムの模型作りも長くやっていることですか?
「1981年に東芝EMIを辞めて、子どものころに好きだったプラモデルをまた始めたのですが、当時はガンプラの爆発的なブームでした。小学生と一緒に行列してやるのもどうか、と家で始めたのが『フルスクラッチビルド』という手法です。歯科で歯型をとるのに使うレジンというプラスチックを削って、220分の1のスケールのパーツを作って組み立てていきます」
「1体作るのに、ちょこちょこやって1年かかることもありますが、パーツを削っている時は本当に無心になれます。その最中が一番楽しいですね。ただ、この2、3年は忙しくてほとんどやっていないんです。今、この作業机にあるのは東日本大震災で壊れてしまったのを修復しているところでしてね」
射撃のきっかけは作品を書くうえでのリサーチですか?
「最初はそうでした。今は的に当たる感覚が面白くなって、毎年夫婦でグアムに通っています。向こうの射撃場、といっても町中にあるお遊びの場所じゃなく、トレーニングセンターみたいなところですが、自分用にピストルを3丁買って保管してもらってます。『グロック』『シグザウアー』『ヘッケラー&コッホUSP』です。USPはドラマ『24-TWENTY FOUR』のジャック・バウアーが持っていたのがどうしても欲しくて。2人で1000発くらいを撃ちますね。妻はライフルの方が好きみたいですが」
今野さんの作品の主人公は趣味を語ったり、興じたりしませんね。
「そうですね。私の作品は結局『仕事小説』なんですね。職業人の話なのです。警察官の仕事を描いているわけで、趣味はどうでもいいのです。なぜ警察官なのかというと、これは書き続けてきて気づいたことですが、武力を持った公務員なんですね。それって侍じゃないのか、と思いましたね。なんだ、自分では意識はしなかったけど、時代物の感覚で書いていたのか、と」