「『法医昆虫学』非常に科学的で奥が深い」

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 どんな趣味をお持ちですか。

 「虫のちょっと変わった写真を撮るのが、趣味と言えば趣味でしょうか。たとえば、カマキリに寄生するハリガネムシとか。本当に針金のような虫なんです。そのハリガネムシは水辺で産卵するので最後はカマキリを水辺に誘って、カマキリの体から脱出しなければなりません。しかしハリガネムシの目的はいったい何なのか、よくわからないんですよ」

 「身のまわりには見たこともない昆虫がそこらへんにいます。マンションのベランダにも。もしかしたら、まったくの新種を発見したのではないか、と思ったりします。普通のデジカメでパシャパシャ撮っています。虫にさわったり、マムシをつかんだりするのは子どものころから、まったく平気なので」

 マムシですか。もしかすると、かまれたこともあるのですか。

 「マムシはありませんが、スズメバチは2回ほど。もう1回刺されると、アナフィラキシーショックで死ぬかもしれないと思っています。祖父が生物の教師だったのです。その影響で虫が好きになり、高校時代には昆虫学を学ぼうと真剣に思ったこともありました。でも、祖父から『食べていけないからやめておけ』とも言われましたし、それ以上にデザインに興味があったので、デザイナーの道に進みました」

 「今は『法医昆虫学』にとても興味があります。人間の死体にどんな虫が、どんな生息状態でいるかを詳しく調べると、死因や死亡時間、あるいは殺害された場所などがわかるというものです」

 法医昆虫学ですか、知りませんでした。

 「人間の死体には、死んで何時間後にはハエがやってきて卵を産み、それからまた何時間かたつとウジがわいて、次に別の虫がやってきて、その次にスズメバチ、そしてクモといった非常に規則性のある経過をたどるのです」

 「法医学の重要な分野で日本ではなじみがありませんが、森林などに遺棄死体が多く見つかる米国での研究が進んでいます。そうした外国の文献などにあたって研究しています。ちょっとグロテスクな面もあるけど、学問としてきっちりしている。非常に科学的で奥が深いですね」

 もしかすると、次の作品は法医昆虫学の研究者が主人公ですか?

 「どういう形になるかわかりませんが、この分野を紹介してみたいと思っています」

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