「あるがままでいい」

動物好きは「子どものころから」

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 「子どものころに坂道が大嫌いになって、平らなところに暮らしたいんです」という乃南さんはこの二十数年、中央線沿線に住み続けている。確かにこの沿線は、山手線の内側や杉並、世田谷あたりとは違って平たい土地がずーっと続く。待ち合わせ場所は「住みたい街」の代表格・吉祥寺にあるホテルのラウンジ。編集者との打ち合わせが終わるのを待った。

 乃南さんといえば、作家としてのフィールドも幅広いですが、別の顔として動物好きとしても知る人ぞ知る、ですね。子どものころからの動物好きですか?

 「動物を飼うこと、動物を拾って帰ることは子どものころからですね。小学校1年生のころ、道で子猫を拾ったことがありました。家族には内緒で飼おうと思って、洋服タンスの引き出しを1段分あけて砂のトイレを作って、タオルを敷いてあげて。引き出しを閉じて寝たんです。ところが翌朝、こっそり引き出しを開けると子猫がいないんですよ。もう真っ青になってしまって」

 「親にも言えないし、どうしよう、どうしようと捜していたら、父の寝間着の懐の中にいたんです。私が寝た後に子猫が鳴いて、遅く帰った父がそれに気づいて、寝間着の懐で温めてくれたんですね。幸せそうに眠っていました」

 今も何か飼っておられますか?

 「2匹の猫がいます。デリケートな『クララ』と、元気が良すぎるくらいの『ハイジ』です。クララは気が弱くストレスをためやすいところがあって、時々『折り入って話があるんだけど』という顔をしてこっちを見るので、じっくり話し合うんです。そうすると機嫌がだんだん良くなるんですね」

 動物と意思疎通ができるのですか。

 「名古屋の動物園でコアラを抱っこさせてもらった時のことです。コアラは長い爪があって、上手に優しく抱かないと爪が肌に食い込んで痛いんですね。私はいとおしい思いで抱っこしてあげたので、コアラもふわっと体を預けてきたんです。そこで一緒にいた新聞記者に『なでるくらい、させてもらったらどうですか?』と言ったけど、その人は動物がすごく苦手な人で、私の後ろからこわごわと手を伸ばして触ろうとしたら、コアラの爪が触られる前からギュッと食い込んできたの。思わず『嫌なのね』とコアラと見つめ合いました」

 動物にも、好きか嫌ってるか、ちゃんとわかるんですね。

 「『凍える牙』にはオオカミ犬が登場しますが、オオカミ犬はワンオーナードッグといって、飼い主や自分が認めた人以外にはなつかないと言われるんですよ。警戒心と独立心がすごく強いんですね。ドラマ化された『凍える牙』に出ていたオオカミ犬に会いに行ったのです。警戒心を解くためのドッグトレーナーや万が一を考えて屈強なボディーガード役も同行していたのですが、その人たちが犬に注意する前に、私は会えたうれしさで、わぁーと走り寄って抱きついていたんです。オオカミ犬もあまりの素早さに威嚇するのも忘れたみたいで、されっぱなしになっていましたよ」

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