第二の脳を持ち歩く

どこにいても仕事ができるという解放感

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「外出の時に、これを持っていくのを忘れたら、かなり不安になります。今ではもう僕の体の一部のようです」と貫井徳郎さんが手に持つのは、スマートフォンの「iPhone(アイフォーン)」だ。単なる新し物好きというだけでなく、小説執筆という仕事にも不可欠な存在になっているという。もはや仕事の「武器」というレベルを超えて、「第二の脳」と言い切る。さてその活用現場は?

 いつも持ち歩いているんですか。

「ええ、普通のケイタイを忘れても困らないけど、外出の際に、これを持っていないとかなり不安になりますね」

 いつごろからですか。

「この機種は2年前に買ったもので、最新機種ではありませんが、アイフォーン利用には大きく分けて二つ理由があります。一つは、30代後半から記憶力が衰えてきたので、メモ代わりに使おうと。昔はどんなことでも一度見れば憶えられるくらい記憶力があったんですが、年とともに衰えてきましたね。そこで開き直って、これに全部記憶させようと」

 何を記憶させるのですか。

「理想としては、ひらめいたことをメモとして残す。まあ、最近はあまりひらめくことがないんですが。実際は書類などを写真に撮って、そのまま保存することが多いです。とりあえず視覚情報として取り込んでおけば、持ち歩かなくて済むし、数日後にも引っ張り出して見ることができる。自宅に帰らなくても確認できるので、自分の原稿を入れておけば、どこでも見られますから。以前のように、ノートパソコンを持ち歩くこともなくなりました」 

 相当便利になりましたか。

「まず、精神的な面が大きいですね。どこにいても仕事ができるという意味で、場所に縛られなくなった。解放感がありますね。小説家は自宅に籠もって原稿用紙に向かうというイメージがありますが、これを使い始めてから、ふらっとどこかに出かけても、これさえ持っていれば仕事に対応できる。行動範囲が広がりましたし、視野が広がった気がします」

 小さなパソコンですからね。

「もう一つの理由は、好奇心旺盛でいたいからです。何か疑問を持った時、今までは家に帰らなければ調べられませんでしたが、これがあるとすぐその場で調べられる。いわば外部脳というか、僕の第二の脳なんです。今秋、最新機種が発売される予定ですが、もちろん買います」

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