第3の人生を創造しよう

趣味は養生です

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 「さらばモスクワ愚連隊」「蒼ざめた馬を見よ」「青春の門」などの小説や、「風に吹かれて」「ゴキブリの歌」などのエッセー。団塊の世代の青春時代は、作家デビューしたばかりの五木寛之さんの、清新で力強い作品群に魅せられた若者が多かった。その団塊の世代も、今年でほぼ全員が65歳以上の「老人」領域に入る。超高齢社会の到来では世界の先頭を行く日本は、何を残して人類に貢献できるのか。「60歳から90歳までいや応なく生きざるを得ないのだから、この30年間を第3の世代として、まったく今までと異なる生き方を創造するときだ」。静かだが熱っぽく語る五木節に、聴き入ってしまった。

 こうしてお会いすると、相変わらずお若いのでびっくりしています。健康の秘訣ひけつなど教えてください。

 「いや、そんなことないですよ。年齢相応にガタがきていますし、記憶力も知力も徐々に衰えてきています。人間の機能というものはナチュラルに経過していきますから。だから無理してアンチエイジングなどしません。昔の先輩作家の中には、わざとご隠居さんのようにして年寄りじみた言動やポーズを取られる方もいましたけど、私はナチュラルです。もう今年で82歳になります」

 ずっと健康なイメージがありますが、今まで大病を患って入院したという経験はありますか。

 「気づきませんでした。というより少々悪くてもそのままできました。僕は大学に入る時に強制的にレントゲン写真を撮られただけで、その後一回もレントゲン撮影していませんし、病院にも一切行かないで生きてきました。多くの人は手遅れにならないように医者に診てもらうのでしょうが、医療への依存心が強いのはダメ。僕は普段から気を付けていて、自分の直感に従って、動物のようにちゃんと生きていますよ」

 だんだん年を重ねてくると、50歳ごろから人間ドックで定期的にチェックする人が多いのですが、五木さんは人間ドックには……?

 「先ほど言ったように、大学のとき一度だけレントゲンを受けただけで、一切病院には行っていないんです。人間ドックも受けたことがありません。リスクを覚悟して生きていかなければなりませんけど。歯医者にだけは行っています」

 それでも80歳代までお元気で。長寿の家系なんですか。

 「いやいや、母は40代、父は50代で亡くなっていますし、弟も姉も若死にでした。僕だけこんなに長く生きるとは思いもしなかった。もうお釣りがくるくらいです。いくら体のケアをしても早く亡くなる人がいるのをイヤというほど見てきました。熱心に歯を磨いても虫歯になる人が多いように、人さまざまですね。だから、あくまでも私の生き方は私のものであって、けっして他人や仲間に勧めるものではありません。この方が自分に合っている、と頑固に僕の生き方をやっているだけです。ひと様はひと様。おせっかいなことはとても言えません」

 動物のように、自分の直感を信じて生きる。いつごろからそういう生き方を意識したのですか。

 「子どもの頃から、教師をしていた父のまねをして岡田式呼吸法というのをやっていました。趣味なんですね。そう、趣味は養生です」

 では、早寝早起き?

 「僕の原稿執筆時間は夜中の0時から朝の5時まで。昔から今まで変わりません。今も新聞連載を2本持っていまして、毎日書いています。多くの健康本には必ず『早寝早起きがいい』と書いてありますけど、もう50年この生活を続けています。朝6時から午後1時までが睡眠時間です。不規則が規則的になっています」

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