大小いろいろありますが300体はありますね

2/3ページ
 

 大倉さんのようなマニアになると、単に組み立てるだけじゃなくて、オレも原型師になるぞと……。

 「いや、原型師の方はすごいですよ。あの造型に懸ける集中力、根気を見ていると、自分にはできないと感じました。あくまで趣味にとどめておきたいですよ。私にとっては作る過程が面白い。たまに完成品を買ってきても、箱から出して、ふーんと、そのまま棚に置いて、それっきりです」

 怪獣の原型師はたくさんいるんですか。

 「親しい方も何人かいますが、素人を含めても怪獣に限っていえば何十人単位でしょう。今は女の子のフィギュアが一番はやっていて、そういう分野を含めたら数百人は間違いなくいます」

 怪獣だけでも20年以上作り続けているとなると、完成作品も結構たくさんの数になっているんでしょうね。

 「大小いろいろありますが、300匹、いや300体はありますね。勘定したことないですけど。種類にしたら100から150種類の怪獣がいます」

 そんなに種類が多いんですか。

 「怪獣は星の数ほどいるので、できるだけ違うものを作りたい。同じ怪獣を作りたくないんです」

 でも、やはりゴジラが一番多いでしょう?

 「ええ。でも最多といっても300のうち、20から30程度ですね」

 では、多い順にトップ3は?

 「1番がゴジラで、2番がバルタン星人、3番がウルトラマンでしょうか」

 こういうご趣味をお持ちですと、おそらく今までに、「いい年をした大人が、まだやっているのか」という趣旨の言葉を何度か投げかけられているのでは、と想像しますが……。

 「まあ、枕ことばみたいなものですね。私たちの世代は怪獣もので育ってきているので、偏見は少ないし根本的な理解はありますから、嫌な思いをしたことはありません。『好きで何が悪い!』と半分開き直っていますよ。むしろ海外の人の方が理解は深いんじゃないでしょうか。今は日本もクールジャパンなどといって海外に売りだしていますからね」

 一つのことを長くやっていると、中には飽きる人もいるようですが、怪獣作りを20年以上続けてきて、飽きたことはありませんか。

 「それがないんですねえ。プラモデルもさることながら、私は怪獣というジャンルが好きなんです。ですから、映画やドラマをDVDで見たり、制作者の回顧本を読んだりするのも好きです。親の介護で一時期作れない時もありましたが、しかし怪獣と離れたことはありませんでした」

 怪獣作りにはご家族の理解も必要でしょう。奥様は?

 「これに関しては近づいてくることはありませんね。まあ、一定の距離を保ちつつ、というところでしょう。ただ、最近初めて子どもができまして、男の子なので、同じ趣味の友達から『(怪獣プラモデル作りの)英才教育をするつもりか』と言われましたが、これは自然に任せようかと」

 この世界は作品の交換会というか、マーケットが大規模だと聞きました。いわゆる「お宝」もお持ちなのでは?

 「確かに希少価値のあるものはありますけど、私は自分で作ったものは売らないし、完成品は手元に置いておきたいんです。価値があるのは未組み立て品です。さらに言えば、未開封ものですね。私は買ったら自分で組み立ててしまうので、価値は半減どころじゃありません。まあ、場所だけとるガラクタ品ですね。それに、ガンプラなどは世界的なマーケットですが、怪獣ものは穏やかで心優しい人たちの小さなコミュニティーなので、あまり見せ合うこともないです。時々、遠方にいる好きな人に自分の作品の画像をネットで送る程度です」

  • JT
  • 日本推理作家協会