知の架け橋

「国際化を考える」⑦(特別編)
グローバル人材とは?
世界で生き残る力と異文化を受け入れる寛容性
副学長(国際・一貫教育担当)・
グローバル推進本部パシフィックセンター所長・教養学部国際学科 吉川直人 教授

2017年8月1日掲出

 2015年4月から2016年3月までグローバル推進担当の学長補佐・国際部長として、また、2016年4月からは現職として、大学全体のグローバル・スタンダードに向けたさまざまな活動に取り組んでおります。近年、大学はもとより社会のあらゆる場面で「グローバル化」ということが掲げられていますが、まずは「グローバル化(グローバリゼーション)とは何か」を理解することが重要です。
 「社会的あるいは経済的な関連が、旧来の国家などの境界を越えて地球規模に拡大して様々な変化を引き起こす現象である」と『知恵蔵』『広辞苑』には載っています。ここで大切なのは、言葉の意味を知るだけではなく「一言でグローバル化といっても長所と短所がある」ことを理解することが必要です。また、「グローバル化」というのは現象であって、「グローバル化」は私たちが行うことではないことを理解することも重要です。このように「グローバル化」を理解することによって、「グローバル化した社会」の中で、私たちがどのように生きていくかを考え、さらに、それを実行することが今の私たちに必要であることに気づくと思います。
 インターネットを中心に情報通信技術が進化し、そこにいながらに経済、食品流通、海外旅行など世界のことがわかるようになりました。これはよい面といえるでしょう。しかし、一方で欠点もたくさんあります。海洋汚染などの環境破壊やテロリズムの多発は、いまや国境を越えた問題となっています。これらはグローバル化が進んだゆえに抱えることになった人類の課題です。

2015年9月には湘南校舎内のドトールコーヒーが「インターナショナル・カフェ」としてリニューアル。学生や近隣住民らが英語で自由に交流する場所を提供することを目的に、店舗周辺の敷地まで含めて「イングリッシュゾーン」に設定。メニューや掲示物はすべて英語で表記され、注文も英語のみで受け付けられる

 その社会状況において、大学はグローバル社会への貢献を推し進める使命を担っています。それは、世界に通用する研究を有し、地域の中心としての役割を果たすこと。さらにグローバル社会に耐え得る「力強さ」、様々な違いを受け止められる「寛容性」、さらに、どのような人にも自分の考えを伝えられる「コミュニケーション能力」を持った学生の育成を意味します。

 今後社会へと巣立つ学生たちには、その社会の中で活躍できる「グローバル人材」としての力が期待されているのです。東海大学のグローバル人材とは“厳しい競争社会を生き延びる、平和に貢献できる人”のこと。それが、できるためには、異なる文化、環境、生活で育ってきた人々と共存でき、助け合い、その中でリーダーシップを発揮できることが理想です。

 学生の皆さんの中には、“自分は将来、海外に出て仕事をするわけではない”、“英語を話さなくても生きていける”と、いわゆる「内向き」の考え方を持つ人もいるでしょう。しかし、考えてみてください。大学、学校という殻から社会に出たとき、どのような仕事でも、一人で完成できるものではありません。ましてや現代社会においては海外諸国との競争も激しく、すぐに大きな波に飲み込まれることになるのです。

 言うまでもなく、その中で生き残っていくには、周囲とのコミュニケーションがとれるかが非常に重要であり、異文化を理解し、多様な価値観を容認できなくては物事が円滑に動くことはありません。また、他者との間で自分の実力を見極め、自分の役割をしっかりと果たし、さらに上のレベルへと挑んでいく必要もあるでしょう。そうして「実力」をつけていくのです。

 東海大学は国内だけでなく、世界の中にある大学でなくてはなりません。近い将来残っていく大学は、グローバル人材を輩出できる大学だけです。その実現に向けて、英語でコミュニケーションする「インターナショナル・カフェ」の開設をはじめ、言語学習のためのラーニングコモンズとして「Global AGORA」の新設、「グローバル推進委員会」の設置、「国際交流プラザ」の建設計画など、教職員が一体となってさまざまな施策を進めているところです。学生の皆さんには、ぜひそのような環境を有効に活用し、楽しみながら実力を磨いてほしいと願っています。

よしかわ・なおと
1957年千葉県生まれ。中央大学経済学部卒業。シカゴ大学国際関係研究科修士課程で国際関係修士号(MA)、ハワイ大学政治学研究科博士課程で政治学博士(Ph.D)を取得。国連開発計画財政専門官、同食料農業機関エコノミストなどを経て東海大学に着任し、ハワイ東海インターナショナルカレッジ学長や東海大学パシフィックセンター所長などを歴任。専門は国際開発論、国際関係論など。

(記事提供:「東海大学新聞」2015年11月1日号)

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