知の遺産

第3回たけとり物語(奈良絵本)平安初期に成立、千年を超えて読み継がれる物語文学の祖(おや)

2013年11月1日掲出

 日本最古の物語文学とも言われる「竹取物語」は、成立年・作者共に不明である。「源氏物語」絵合の巻に「物語の出で来はじめの祖(おや)なる竹取の翁」とあるように、平安中期には既に物語文学の始祖として扱われていた。作者については空海、遍昭、紀貫之など諸説あるが、いずれも決定的ではない。漢詩文に秀で、漢籍・仏典の豊富な知識をもった男性の作と思われ、九世紀後半から十世紀前半に成立したものとみられている。

 本学所蔵の資料は元禄時代の書写と推定される奈良絵本である。掲載の図は、嘆くかぐや姫と竹取の翁や嫗(おうな)の前に、飛ぶ車を備え、雲に乗った天人たちが降り立つ場面である。帝の命により翁の屋敷に派遣された護衛の者が、姫を守るため天人へ矢を射かけようとするも、手に力が入らず逆に天人を伏し拝んでいる。「今はとてあまの羽衣きるおりぞ君をころもとおもひいでたる」の歌を残し、姫は月へ帰って行くのである。

(記事提供:東海大学後援会誌「TOKAI」172号)

関連リンク:東海大学付属図書館
http://www.time.u-tokai.ac.jp/

知の遺産の一覧

src="/sp/tokaism/heritage/images/01_thum.jpg" alt="" width="65" height="65" />第1回 栄華物語(奈良絵本)
土佐派の流れをくむ絵師の筆によって描かれた江戸中期の奈良絵本5月1日掲出