知の遺産

第10回 東海道中膝栗毛
庶民による庶民のための江戸文学
東海大学付属図書館蔵

2015年8月3日掲出

 貴族や武士など、支配階級のものであった書物が庶民に普及するのは江戸時代に入ってからである。幕府によって学問・教育が奨励され識字率が上がる一方、紙の量産とあわせてさまざまな書物の出版が行われ、やがて町人を中心とした江戸文学が形成されていった。その代表作のひとつが十返舎一九作「東海道中膝栗毛」である。

 文化・文政(1804〜1830年)頃に刊行されたこの本は、江戸から伊勢神宮に向けて旅立った弥次郎兵衛と喜多八の道中の経験を滑稽に描いたもので、大いに人気を博し、続編も次々と刊行された。出版市場の成熟を背景に、一九は文筆業で生計を立てた、最初の職業作家とも言われている。

 掲載の図は、小田原宿にて五右衛門風呂の入り方を知らず下駄を履いて入ってしまった弥次郎兵衛と、それを見ている喜多八。このあと真似をして下駄で入浴した喜多八は、風呂の底を踏み抜いてしまう。滑稽談とともに、当時の庶民の生活をうかがうことができる。

文・付属図書館

関連リンク:東海大学付属図書館
http://www.time.u-tokai.ac.jp/

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