知の遺産

第11回 土佐日記(青谿書屋本)
仮名で自由に思いをつづる
新たな文学表現の誕生
東海大学付属図書館蔵

2015年11月2日掲出

 土佐日記は、「をとこもすなる日記といふものを…」という序文で有名な、平安期の歌人・紀貫之による仮名文体で書かれた日記である。成立年は未詳だが、承平5年(935年)頃とみられる。貫之は従来男性が用いた漢文ではなく、自らを架空の女性に仕立て、仮名文で和歌を交えながらこの日記を綴っている。時には虚構を加えつつ「男性・漢文」の枠から抜け出したことで可能となった、自由に心境を展開する新たな文学の姿がそこにはある。

 本学所蔵の土佐日記は、青谿書屋本と呼ばれ、藤原定家の息子為家が、貫之自筆本を直接厳密に書写した本を親本としている。日本古典文学研究の第一人者であった故池田亀鑑博士が研究に用いたもので、大変に高い資料的価値を持つ本である。大きさは、たて17.2cm、よこ15.8cmの楮紙の胡蝶装、表紙は金・銀泥による霞・野毛の文様がえがかれ、金・銀の箔を散らしてある。表紙には「圡左日記」と書かれている。

文・付属図書館

関連リンク:東海大学付属図書館
http://www.time.u-tokai.ac.jp/

知の遺産の一覧

src="/sp/tokaism/heritage/images/01_thum.jpg" alt="" width="65" height="65" />第1回 栄華物語(奈良絵本)
土佐派の流れをくむ絵師の筆によって描かれた江戸中期の奈良絵本5月1日掲出