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クローズアップ研究室

大規模災害発生時に役立つ情報提供システムを構築中

2014年5月15日掲出

 東日本大震災の発生直後から、人々に役立つ情報がツイッターやフェイスブックを介してリアルタイムにやりとりされていたことを覚えている人も多いでしょう。情報数理工学や画像処理を専門とする内田理准教授は、この経験をもとに誰でも手軽に使える避難支援情報提供システムの構築を目指しています。その概要を聞きました。

 「電車は動いているのか」「避難所はどこにあるのか」「どこのスーパーが営業しているのか」――東日本大震災ではツイッターやフェイスブックといったソーシャルメディアが、情報源として大きな役割を果たしました。「自分自身の生活に直結する、よりパーソナライズされた情報を人々が求めた結果」と内田准教授は語ります。大震災後の調査でも、ツイッターが「役に立った」「やや役に立った」と答えた人は78.5%、フェイスブックは62.1%という結果となっています=図1参照。

 「そうはいっても、高齢者の中には“必要な情報をどうやって入手すればいいのかわからない”という人も多い。そこで大規模災害が発生した際、利用者の現在地や年齢・性別に応じて、そのニーズに合った情報だけをピックアップして提供するスマートフォン用アプリケーションを開発することを思いつきました」 

対象地域を限定してより身近な避難情報を

 具体的には、情報提供の対象地域を湘南校舎近隣の平塚市、秦野市、伊勢原市、大磯町に限定。これらの地域の住民と通勤・通学者に対し、ツイッター情報と自治体からのオフィシャル情報を組み合わせた避難支援情報を提供します=図2参照。

 「土砂災害や津波、帰宅難民など、想定される問題は各自治体によって異なる。対象地域に特化したシステムを作ることで、より正確な情報収集や提供が可能になると考えています」

 「安全・安心なまちづくりを支援する災害時避難支援情報提供システムの構築」と題したこの研究は、2013年度のTo-Collaboプログラム=キーワード参照=「地域志向教育研究経費」に採択。代表を務める内田准教授をはじめ、理学部の山本義郎教授、工学部の梶田佳孝准教授、教養学部の富田誠講師の4学部の専門を生かしたチームで研究を進めています。

 現在、内田准教授は研究室の学生とともに、震災当時に発信された膨大な量のツイートの中から、対象地域に関するものを抽出して解析。そのかたわら、自治体担当者へのヒアリングを重ねています。「リアルタイムに流れてくるツイートを収集、選別して表示するシステムをいかに作り上げるのかが今後の課題。南海トラフ地震も懸念されている今、その被害を最小限に食い止めるためにも、2、3年以内には完成させたい」

focus
安心・安全・快適な社会を 情報科学の力で実現したい

 「将来の夢は博士」と、小学校の作文に書いた内田准教授。少年時代は虫やチョウの採集に夢中になり、キュリー夫人やエジソン、ファーブルなどの伝記を読みあさりました。特に大好きだったのが、夏休みの自由研究。「だって、漢字や算数のドリルと違って“自由”に研究できるじゃない」と笑います。

 その精神は今も健在で、避難支援情報提供システムの構築以外にも、タッチスクリーン型モバイル端末向けの新たなユーザー認証方式など、多彩な研究に取り組んでいます。「興味を持ったことは、やってみなければ気がすまないタイプ。面白いから、やってみたい――その結果として研究範囲が広がってしまう」

 そんな好奇心旺盛な内田准教授が率いる研究室は、「安全・安心・快適な社会を情報科学の力で実現する」がモットー。学生自身が研究テーマを考え、取り組むのが決まりになっています。実は避難支援情報提供システムの研究も、もとはといえば「東日本大震災のときにツイッターが役立った」という話が出て、それを研究したいと手を挙げた学生がいたからでした。「大震災の教訓を生かしたこの研究は、私たちの研究室のモットーにもぴったり合致しているんです」

うちだ・おさむ 

1973年神奈川県生まれ。明治大学理工学部電子通信工学科卒業。北陸先端科学技術大学院大学情報科学研究科情報システム学専攻博士前期課程修了。電気通信大学大学院博士後期課程修了。博士(工学)。

Key Word 『To-Collaboプログラム』
「To-Collabo プログラムによる全国連動型地域連携の提案」は、文部科学省の平成25年度「地(知)の拠点整備事業」に採択された東海大学の取り組み。全国の共通課題を解決するために4計画8事業を展開。採択研究には「地域志向教育研究経費」が支給される。今年度は7校舎19件が採択された。

 (記事提供:「東海大学新聞」2014年3月1日号)
 関連リンク:情報理工学部情報科学科

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