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クローズアップ研究室

〝お役所仕事〟はもうおしまい?「人事評価」制度の導入で公務員の仕事が変わる!?

2014年10月15日掲出

 日々の暮らしを支える行政サービスを担う公務員。厳しい財政状況や多様化する住民ニーズを背景に、仕事の内容や働き方に変化を迫られています。行政学が専門で公務員制度の研究に取り組んでいる政治経済学部政治学科の出雲明子准教授に、変わりゆく公務員像について聞きました。

 日本国憲法で「全体の奉仕者」(15条2)と位置づけられている公務員。法律によって身分が保障され、法や規則を犯さない限り免職や降格はない。その安定性も魅力の一つとなり、大学生に人気の職業となっています。しかし、「学生がイメージしている公務員像は、様変わりしつつあります」と、出雲准教授は指摘します。

 そのカギとなるのが人事評価の導入です。2009年に国家公務員に人事評価制度が導入され、任免や給与の査定に活用する取り組みがスタート。5年を経て、その動きは先進自治体だけではない地方公務員全体に及ぼうとしています。今年1月から6月まで開かれた第186回国会で、地方自治体に対しても人事評価制度を導入するための改正地方公務員法が成立、公布されました。

 とかく“お役所仕事”や“仕事に人をあてるのではなく人に仕事をあてている”などと批判されがちな公務員ですが、「評価に基づいて、政策や目標を実現するために適切な人を配置できるようになることが期待されます」と出雲准教授は言います。

地方公務員にも人事評価が導入

 では、望ましい評価基準とは?

 「目標を立てて達成度を図るなど、民間企業と同様に自己評価や他者評価をします」と出雲准教授。一方で、大きな違いもあります。「民間企業の場合は、たとえば営業担当者は顧客すべてに平等に対応しなくても、〝お得意さま〞など大きな利益をもたらす人を優遇して業績を上げれば高く評価されます。しかし公務員の場合は、同じ地方自治体に住む住民なら、差別や区別をすることなく全員に公平な目配りができるかどうかが、重要な評価のポイントになるのです」

総務省「地方公共団体における人事評価制度に関する研究会」のメンバーで、人材育成等専門家を務める出雲准教授。神奈川県の厚木市や平塚市でも外部評価に携わり、施策面から評価のあり方を考えています。

 「公務員に、まず人事評価を受ける意義を理解してもらうことが大切です。特に地方公共団体の場合は規模や事情もさまざま。簡易で実効性の高い評価にするための、基準のあり方などの検討を始めています」

やりがいが高まり労働市場も活性化

 変わりゆく公務員像。人事評価制度が導入されて浸透していくと、民間企業のように査定により昇格や給与に差がつき、場合によっては降格されることも。

 それはやがて、労働市場の流動化をもたらすと出雲准教授は言います。民間から公務員へ、逆に公務員から民間へ。その先には、国から地方、地方から国という流れも起きてくるでしょう。

 「“安定”という面では公務員の魅力は減るかもしれませんが、長期的に見れば個々にやりがいを持ち、正当に評価されることでモチベーションも上がる好ましい状況になると期待しています」

focus
被災地や夕張市の課題を自らの問題と考えてほしい

政治経済学部政治学科 出雲明子 准教授

 「大学時代に留学したアメリカで、市民が公園の管理を生き生きと楽しそうにやっている様子を見て、行政の活動に関心を持ちました」と振り返ります。日本とは制度が異なるものの、「行政の活動は私たちの生活に深く結びついている」との確信を得て、行政学の道に。視線は常に担い手である「ひと」に注がれています。

 そんな出雲准教授のゼミでは、成長の限界が予想される地域社会における行政のあり方を模索。現在は東日本大震災の被災自治体における復興政策や、財政再建団体となった北海道夕張市の現状などがテーマです。

 8月7日から9日には、ゼミの学生10人と夕張市を訪問。他大学の学生ら40人と合同ゼミ合宿に臨みました。今回のテーマは、「極点社会のなかでの夕張市のこれから」。出雲ゼミの学生は、これまで取り組んできた東日本大震災の被災地研究の成果を生かし、同市の現状と課題や、2040年の同市のあり方などについて他大の学生らと議論を重ねました。また、市内の施設も見学。市職員らと話し、行政の現場の声にも耳を傾けました。

 出雲准教授は、「夕張や被災地が抱える課題は、全国の限界集落や都市の空き家問題などにも共通するもの。学生たちには日本が抱えるさまざまな課題を自らの問題として考えてほしいと思います」と話しています。

いずも・あきこ

1976年広島県生まれ。国際基督教大学大学院行政学研究科博士課程修了。同大学院非常勤講師を経て2008年東海大学政治経済学部専任講師、11年から現職。今冬、『公務員制度改革と政治主導』(東海大学出版部)が刊行予定。

 (記事提供:「東海大学新聞」2014年9月1日号)
 関連リンク:政治経済学部政治学科

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