インタビュー:中嶋卓雄教授

 --福島第1原発の事故を受けて、再生エネルギーは改めて注目されています。

 グリーンエネルギー、ロボット技術、安全な食品を提供する植物工場、安全で快適な暮らしを提供する情報ネットワーク、これらが融合して、産業活動となります。これらは安全・安心な社会を作り、持続可能な生活環境を支えるための重要な技術であり、これからの社会基盤構築のために欠かせない分野です。私たちは東日本大震災以前からこうした考え方について論議しており、それが間違っていなかったと感じています。

 --再生エネルギーの産出だけでなく、省エネそのものの研究は進んでいますか。

 

 はい。あるデータをネットワークに転送するとなると、遠くに飛ばすには多くのエネルギーが必要になります。しかし中間にポイントを置いて、バケツリレー式にすると、エネルギーは少なくてすみます。このようにエネルギーを使わない別の仕組みを考えることが重要です。

 発電効率でいうと、太陽が位置する方向に太陽電池の向きを自動的に合わせるセンサーネットワークがあれば効率的です。またビニールハウスにとりつけた太陽電池の光がハウス内に通る透過型にすれば、農業の近代化と省電力を進めることができます。

 --準備を進めている「基盤工学部」ではどのような学習をするのですか。

 「基盤工学部」の電気電子情報工学科で、「グリーンエネルギー」「植物生産工学」「次世代ロボット」「情報工学」の四つの分野を複合的に学びます。従来で言えば複数の学科の内容を同時に学習することになります。

 グリーンエネルギー分野では、グリーンエネルギーによる発電の仕組みと利用技術を学び、次世代電力網「スマートグリッド」についても、先進事例を中心に学びます。植物生産工学分野は、ネットワークを利用した遠隔操作やロボットによる収穫など先端の技術に加え、阿蘇キャンパスの農学部と連携した「キャンパス横断型副専攻科目」により、農学に関する専門分野を学習することも可能です。次世代ロボット分野は、最新のロボット関連技術を学習し、実習を多くして、学生自身がものづくりの喜びを感じてもらえる授業にする予定です。

 最後にこれまでの3分野のベースになるのが、情報工学分野です。ネットワーク、セキュリティー、プログラミングなどの情報技術の基本を学び、アプリケーション構築技術をマスターします。3年次以降には、画像処理や拡張現実システムなど先端の情報工学も学習します。また、植物工場のセンサー制御、太陽光発電状況の遠隔地からの「見える化」など3分野への技術応用の役割を担います。

 --再生エネルギーを研究する学生に一言お願いします。

 地球は閉ざされた空間です。それと同じように、閉じた形(施設)の中で、いろんな形態で生活ができ、生命体が生まれてくる。そういったものが完成、発達していけば、世界の人口が増えても対応できるかもしれません。再生エネルギーは、地球環境の変化や、食料不足の問題など、人類が直面しているさまざまな問題を解決できる一つの重要な柱なのです。 あまり細かい特殊技術をすべて理解することに固執せず、ある程度、使える技術を相互に組み合わせて、つなげていくことが重要ではないでしょうか。これから学ぶ皆さんへは様々な異なる分野を勉強して、それらを関連付けられることを応用して学んでいってもらいたいと思っています。

関連リンク:東海大学熊本キャンパスの新学部特設サイト

東海大学産業工学部電子知能システム工学科専任教授
2013年4月新設の東海大学基盤工学部電気電子情報工学科へ就任予定
中嶋卓雄教授
熊本県出身。1986年熊本大学大学院工学研究科修了。富士通勤務を経て、熊本大学工学部助手。2001 年から九州東海大学応用情報学部講師を経て、大学の統合後、東海大学産業工学部教授。博士(工 学)。専門は、コンピュータネットワーク、コンピュータセキュリティなど。2006年度情報処理学会 「山下記念研究賞」受賞。2007年、2009年「IPSJ Workshop on Multimedia Communication and Distributed Processing  Outstanding Paper Award」など受賞歴多数。情報処理学会、ACM、IEEE 会員。

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