オピニオン 児童文学から探る北欧文化 知られざるアンデルセン童話の魅力 アナ雪からクリスマス伝承まで 文学部北欧学科 福井信子教授

 インテリア、家具、雑貨など近年北欧文化が関心を集めているなかで、2014年はアンデルセン童話を題材としたディズニー映画「アナと雪の女王」が大ヒットした。クリスマスシーズンを前に、文学部北欧学科、福井信子教授に北欧文化やアンデルセン童話の魅力について聞いた。【毎日新聞社デジタルメディア局 垂水友里香】

――「アナと雪の女王」がヒットしました。作品をどうご覧になりましたか。

 とてもおもしろい作品だと思って拝見しました。原作となったアンデルセンの「雪の女王」を読むと、題名になっているにもかかわらず「雪の女王」があまり出てこないのです。雪の女王とはどういう存在なのか、きっと多くの人が気になっていたと思います。ですから、雪の女王があのように描かれたことがとても興味深かったです。

――映画の中でどういう部分に北欧的な要素をお感じになりましたか。

 主人公アナの冒険のお供をする雪だるまをモチーフにしたキャラクター「オラフ」とトナカイがモチーフの「スヴェン」、名前がいかにも北欧らしいです。冒険の過程でサウナも出てきました。またアナが姉のエルサと十数年ぶりに再会する戴冠式の場面では、式場となった教会もノルウェーの異教的な雰囲気の木造スターブ教会でした。祝いの舞踏会も、素朴な農民の踊りのように見えます。また国王夫妻の乗った船が難破するほんの一瞬の映像ですが、デンマークのアンデルセン童話の「人魚姫」を連想しました。

――アンデルセン童話の魅力を教えてください。

 アンデルセン童話は全部で156編ありますが、知られているのはごく一部です。あまり知られていない作品にこそ、アンデルセンの人生への思いがよく表れているような気がして、心ひかれます。物語の主人公はヒキガエル、コガネムシ、アザミ、ヒナギクなどさまざま。それぞれが運、不運はあれど、自分自身の人生を理解し最後は納得しているように見えるところがとても魅力的です。子どものときよりも、むしろ大人になってから楽しめるものが多いように思います。

――アンデルセン作品の中には「人魚姫」や「もみの木」のようにハッピーエンドにならない作品もあります。

 子どもの心をかき乱すような作品もありますね。デンマークでも、日本の子どもがしてもらうように寝る前に読み聞かせはよく行われますが、そんな時アンデルセン童話が選ばれることはまずありません。寝る前にこうした話を聞くと、子どもたちの頭や心が混乱してしまうからで、それだけ印象が強いのでしょう。それにしても、心をかき乱し人々の心に長く深く刻まれていく話というのはすごいものだと思います。そして、深く解釈できる部分もあり、年齢を重ねるにつれて、それまで理解できなかった部分も納得するようになっていきます。幼いころからそうした童話に触れ、共に育っていくことはすばらしい文化だと思います。

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