「黄金世代」抱え箱根上位を狙う
世界と戦える「長距離日本」復活を

体育学部競技スポーツ学科
両角速 准教授

 来年1月2日、3日に開かれる第93回東京箱根間往復大学駅伝競走(箱根駅伝)。4年連続44回目の出場となる東海大学陸上競技部中・長距離ブロック駅伝チームは、昨年末の全国高校駅伝で活躍した有力選手が数多く入学し、上位入賞を狙う。10月の出雲駅伝は1年生の活躍などで3位を獲得する一方、11月の全日本大学駅伝は7位に沈み、課題も浮き彫りになった。チームを率いる両角速駅伝監督に箱根への意気込みや展望を語ってもらった。【聞き手 永井大介】

 学生三大駅伝のうち、出雲駅伝と全日本大学駅伝が終了しました。出雲、全日本の結果について改めて感想をいただければと思います。

 出雲駅伝(6区間、45.1キロ)には本学の良さが出たと思います。どちらかといえば下級生に力があり、その中でも比較的10キロ未満の短い距離を得意としているスピード型の選手が多いので、その特色を生かせる大会だったと思います。

 一方で、全日本大学駅伝(8区、106.8キロ)は走者も増え、距離も長くなり、出雲のように上位に入るのは難しいのではと思っていたところに、出雲を走った選手2名が故障、大会直前に複数の選手が感染性胃腸炎になり、十分な戦力を整えることができませんでした。出場選手のコンディションが整わなかったことが、2年連続で獲得していた次回大会のシード権を落としてしまった原因だと受け止めています。

 ただ、出雲では關選手、全日本では館澤亨次選手と1年生が区間賞を獲得するといった大きな収穫もありました。

 關は3区のエース区間で、よく結果を出してくれました。1区の鬼塚翔太(1年)、2区の館澤亨次(1年)がいい流れを作ったので、關の力を引き出すのに大きく貢献してくれたと思っています。とはいえ、關のあそこまでのデビューは予想していませんでした。勢いというか、怖いもの知らずという面が、良い結果に繋がったのではと思います。特に相手となった王者・青山学院大学の下田裕太選手はマラソンも経験している選手。8.5キロ区間とはいえ向かい風が強かったので、後手に回ってしまってもおかしくない局面でしたが、關は「相手が少し、苦しそうだな」と判断し、積極的に前に出ました。そうした判断力は、1年生らしからぬものがあると頼もしく感じました。

 昨年の全国高校駅伝で「花の1区」を上位で走った選手など、期待のルーキーが多くチームに加わっています。周囲からの期待が大きい分、難しさもあるのではないでしょうか。

 1年生があらゆる距離のレースに対応することは極めて難しいことです。出雲で良かった分、全日本は苦戦しましたし、箱根駅伝は全日本よりもさらに距離が伸びるため、もっと苦戦すると思います。長距離と一言でいっても、1500メートル、3000メートル障害、5000メートル、10000メートル、20キロ、ハーフマラソンと様々な距離と種目があり、あらゆる距離を器用にこなす選手もいますが、そんな選手はごくまれです。一般的に考えれば、大学の低学年で、5000メートルあたりを得意とする選手は、20キロは走りきれない選手も多いのが実情です。

 1年生は、初めての箱根を経験して、それを通じて、日々の練習で徐々に長い距離に対応出来ていくのではないかと思っています。そういう意味では、箱根駅伝1年目で3区で当時の区間新記録を出した佐藤悠基選手(日清食品グループ)や2区で10人抜きを成し遂げた村澤明伸選手(同)のようなレベルの選手は今の1年生にはおりません。そのワンランク下の選手が揃っているという話であって、そこは本人たちもよくわかっています。

 箱根を知る上級生と箱根を知らない下級生がうまくかみ合えば上位も見えてくるのではないでしょうか。

 そうですね。ただ、上級生がどこまでメンバーに絡んでくるか、という課題があります。今の4年生は1・2年生の時に箱根を経験している選手も多いのですが、その後あまり力を伸ばせておらず、現状維持のままで来てしまっています。今、短い距離が得意な1年生が20キロの距離に対応していくと、上級生がどれだけメンバーに残れるか。ただ、他大学の例を見ても、箱根は10区間の長丁場ですから1年生の勢いだけでなく、経験を積んだ上級生が引っ張っている大学が上位に入っていると思います。新戦力と経験者がうまく融合したとき、本学にも初めてチャンスが出てくると考えています。

 箱根駅伝まで残り1カ月半です。選手のメンタルはどのように持っていくのですか?

 メンタル面は、こちらでコントロールしつつ、キャプテンにゆだねる部分が結構あります。レースが近づくとどうしても、準備不足から不安が先走ってしまうことも多いので、弱気にさせないことが重要です。選手が自信を持ってレースに臨めるよう、戦略を立てたり、コースを下見したり、合宿をしたりしながら、選手の不安を取り除いていきます。

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