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ベストティーチャー

「ベストティーチャーの授業の秘密(2)」コミュニケーション力の育成に重点を置く〜全員が積極的に授業に参加できるような工夫を〜 東海大学教養学部国際学科 小貫大輔准教授

2012年8月1日掲出

 東海大学では、教育力向上に向けた組織的な取組(FD)の一環として、学生による授業評価を実施しており、学生からの評価が高かった教員を「東海大学Teaching Award」として毎年表彰しています。

 今回は2010年度に受賞した教養学部の小貫大輔教授に、授業構成にあたっての創意工夫や学生と接する際のポイントなどを聞きました。

授業を行う上で、工夫されている点は?

 私の授業ではコミュニケーション力の育成に重点を置いていますので、私が一方的に話す形式は原則としてとっていません。もちろん100人以上の大人数になると、講義が中心にならざるを得ませんが、そういった時でもできるだけ学生の参加を促すようにしています。

 例えば「何か意見や質問がある人?」と投げかけるだけでは、ほとんどの場合手があがりませんが、「隣の人や前後の人にどんな疑問があるか聞いてみて」と指示して、話し合う時間を取ってからマイクを向けると、さまざまな質問や意見が出てきます。これに対し、30人以下の少人数の授業であれば、ディスカッションを中心に授業を展開しています。机を取り払い、椅子を円形に並べてお互いの顔が見えるような配置で授業を行ったり、あるいはグループ分けをして話し合ったりさせるなど、必ず全員が授業に参加できるよう工夫しています。

 また、私は全て英語で進める授業も担当していますが、これは聴く力を養うというよりは、むしろ英語で発言してコミュニケーションを取る力を養う授業です。コミュニケーションを取るためには、まず学生たちがお互いを知ることが重要です。グループ分けをする際にも、例えば誕生日順に一度並んでもらい、その順番でグループ分けをすると、学生同士で「△月生まれなんだ」「何日?」といった具合にコミュニケーションが生まれるきっかけになります。コミュニケーションは強要するのではなく、自然な形でとれるよう心がけています。

 日本人はあまりディスカッションに慣れていません。高校生までの間はそうした機会もほとんどありませんので、入学当初は私の授業スタイルに戸惑う学生も多いと思います。しかし、「授業中でも自由に発言していいんだ」という許可を与えられていると実感できれば、学生はどんどん積極的に授業に参加するようになっていきます。

授業で配慮している点は?

 学生がどんな意見を言っても絶対に否定しないようにしています。当然、ピントはずれの発言をする学生もいますが、それでも否定はしません。こうした私の姿勢を学生が見ることで、学生同士でもお互いの意見は否定しないという文化が授業の中に生まれてきます。

 私は東海大学に採用される前まで国際協力の仕事をしており、国連などの国際機関の会議に参加する機会も少なくありませんでした。外国人との会議では、自分とは全く異なる意見を持っている人や自分が話をしている最中に強引に意見を差し挟んでくる人なども大勢います。私の所属は国際学科ですから、学生たちにそんな国際的な会議で通用する力も身に付けて欲しいと思っており、人と違う意見を述べる場合や自分が発言権を得るためにはどうすればよいかといった実践的なテクニックも教えるようにしています。

 また、授業の最後には学生に「ミニッツペーパー」を書かせています。これには出欠や学生の理解度を確認する目的もありますが、実は私自身の反省材料にするという目的も兼ねています。授業では「人間の性(セクシュアリティ)」など、非常にセンシティブなテーマを扱うことが多くあります。取り上げたトピックやそれに対する私の考えを自分の身に置き換えて、自分の生い立ちや性、生き方について悩んでしまう学生がいてはいけないので、各回の授業でそうしたズレがなかったか、誤解されている部分がないかといったことを学生が書いたものに目を通して確認し、もし何かあれば次の授業でフォローするようにしています。

今後の課題と抱負について

 教養学部では、実社会と触れ合うプロジェクト学習を導入し、授業で培った専門能力を実践力に高めることを目的とした「ソヒュームプログラム」を実施しています。私の授業でも、授業とプロジェクト活動の連携をさらに深めていくことができれば、と考えています。授業で学んだ知識を実際の現場で生かし、現場で感じた課題を授業に持ち帰って学びを深めるというサイクルが理想的ですが、まだ十分ではありません。この理想に少しでも近づけるよう努力していきたいと考えています。

関連リンク:教養学部国際学科
http://www.u-tokai.ac.jp/undergraduate/humanities_and_culture/international_studies/index.html

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