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ベストティーチャー

授業の秘密(20)
管理者やリーダーになってから生きてくる知識を学ぶ
〜抽象的な内容を具体的にイメージできるよう、ほかの授業との結びつきも整理〜
健康科学部社会福祉学科 小林理准教授

2016年3月1日掲出

 東海大学では、教育力向上に向けた組織的な取組(FD)の一環として、学生による授業評価を実施しており、学生からの評価が高かった教員を「東海大学Teaching Award」として毎年表彰しています。

 今回は2014年度に受賞した健康科学部社会福祉学科の小林理准教授に、授業構成にあたっての創意工夫や学生と接する際のポイントなどを聞きました。

※身分は、受賞対象となった14年度のものを表記しています。

授業を行う上で、工夫されている点は?

 健康科学部社会福祉学科では、多くの学生がソーシャルワーカーをはじめとした福祉関連の仕事に就くことを目指しています。その中で私が担当しているのは「子ども家庭福祉論」「社会福祉管理運営論」などの科目です。「子ども家庭福祉論」は子どもや家庭の福祉について学ぶ科目で、私が主に担当しているのは、福祉の歴史や制度・政策を踏まえたうえで、子どもや家庭をどうとらえ、どういった支援が必要なのかを考えていく、いわば理念的な部分です。「社会福祉管理運営論」は国や社会全体が社会福祉の仕組みをどう作っているのか、サービスがどのような仕組で提供されているのか、福祉の現場で施設や組織がどう運営されているのか、といったことを学ぶ科目です。

 2つの科目に共通するのは、就職してすぐに現場の最前線で働くために必要な知識というよりは、何年か経験を積んだ後、管理者やリーダーになってから生きてくる知識を学ぶという点です。いずれの科目も抽象的な内容が多く、どうやって具体的なイメージを持ってもらうか、今話していることが将来どう生きるのかを理解してもらうことに苦心しています。そのため、ほかの授業とのつながりをなるべく学生に意識させるよう心掛けています。社会福祉学科は少人数での授業が多く、教員と学生の距離が近いのが特徴です。そこで、科目名を出すだけでなく、「○○先生がこういう話をしていたでしょう」と先生方の名前を出し、その授業内容との関わりを示すことで、私の授業内容に対する理解を促すようにしています。時間ごとに違う内容を学んでいると、学生たちはどうしても整理がつかなくなり、混乱してしまいがちです。そうした中で、それぞれの授業がどう結びついていくのかを整理してあげることも私が担当する科目の役割ではないかととらえています。

 社会福祉学科には毎年、ノートテイクによる授業支援が必要な聴覚障害者の学生が入学してきます。そのため、ボランティアのテイカーがスムーズにノートテイクできるよう、ある程度話をしたら、筆記したりメモしたりするための時間をとるよう配慮しています。このちょっとした“間(ま)”が、ほかの学生にとっても、考えたり、内容を整理したりする時間になっています。

学生を授業に惹きつけるポイントや学生と接する際に気を付けている点は?

 高校の授業時間は45分か50分です。それが大学に入ってほぼ倍の90分になるわけですが、この90分間を集中させ続けるには、工夫が必要です。その工夫の一つとして私は、授業を二つもしくは三つのブロックに分けて進行するよう心がけています。資料も最初にすべて渡してしまうのではなく、後半の資料は前半が終わったところで渡すことで区切りを意識させています。

 パワーポイントを使って授業を行う場合は、スライドをプリントアウトして学生に配布しますが、学生はこれをもらって説明を受けると、すべて理解したような気になってしまいます。そこで学生には、「この資料はあくまでも授業の材料。私の説明を聞いて、線を引いたりメモを書き込んだりして、自分なりのノートにしてほしい。板書したことや口頭で説明した部分も試験の採点ポイントになる」と指導するようにしています。

 また、授業では毎回「ミニッツペーパー」を使用しています。ただ、毎回授業のまとめを書かせているだけでは学生が飽きてしまうので、当該授業のある部分について考えさせ、自分なりの考え方を書かせるなど、毎回ミニッツペーパーに書くテーマを変えるようにしています。

 授業外で学生と接する際には、何気ない話をする時と、しっかりと向き合って話す時とで、話し方やスピード、声の高さなどを変えています。学生たちも「非言語コミュニケーション」の授業でこうしたスキルを学んでいますので、こちらの意図を汲み取ってくれているようです。

今後の課題と抱負について

 近年は、社会福祉学科に入学しても最初から資格取得を目指さない学生、あるいは途中で方向転換をする学生も増えており、毎年約35〜40%の学生が一般企業に就職しています。こうした状況の中で、資格取得を目指す学生もそうでない学生も興味を持てる授業をいかに展開していくかが今後の大きな課題です。

 私は「第44回海外研修航海」に団役員として乗船し、さまざまな学部・学科の先生方や学生と身近に接する機会を得ました。他学部・学科の先生方がどのように学生と接しているのか、他学部・学科の学生がどのようなことに興味を持っているのかを学べたのは、私にとって大きな財産です。このことが現在の私の授業運営にも大きく影響しています。今後も学部・学科を問わず、積極的に学内の先生方や学生たちと交流する機会を作っていきたいと考えています。

関連リンク:健康科学部社会福祉学科
http://www.u-tokai.ac.jp/academics/undergraduate/health_science/social_work/

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