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売りは天然芝 網走もホストタウンに

ラグビー・トップリーグの夏季合宿で練習試合を行うサントリー(左)と神戸製鋼の選手たち=北海道網走市の網走スポーツ・トレーニングフィールドで2015年8月3日(網走市教育委員会提供)

 2020年東京五輪・パラリンピックで海外選手らと交流する「ホストタウン」。開催都市の東京のみならず、全国にオリンピックムーブメント(五輪精神を広げる運動)を波及させる試みの一つとして今年1月に全国44件が登録された。東京から約1000キロ離れた北海道網走市もその一つ。オホーツク海の沿岸に流氷が迫る2月上旬、現地を訪れた。

     羽田空港から空路で1時間45分。オホーツク地域の玄関口、女満別(めまんべつ)空港に降りた。気温は氷点下18度。街の人が「今朝から急に冷え込みましてね」とすまなそうな顔で迎えてくれた。

     ホストタウンの交流拠点となるのは、市内の「網走スポーツ・トレーニングフィールド」だ。今回は雪原だったが、東京ドーム約9個分の敷地に天然芝のラグビー場7面などを擁し、空港から車で20分という利便性をアピールする。ラグビー・トップリーグの強豪チームが数多く夏季合宿を張っており、昨夏はリーグ2位の東芝など7チームが訪れた。網走市は今回のホストタウン申請で「7人制ラグビーとパラリンピック陸上のオーストラリアチーム事前合宿誘致」を計画に掲げる。

     網走市でラグビー合宿が始まったのは1980年代。東芝が96〜98年度に日本選手権を3連覇したことなどから評判を呼び、一気に合宿チーム数が増えた。冷涼で降雨が少ない夏の気候と、世界でもトップレベルと評されるグラウンドの天然芝が売りだ。世界最高峰リーグ「スーパーラグビー」でもプレーしたリチャード・カフイ(東芝)は「どこの試合会場よりも網走の芝が素晴らしい。この芝を練習で使えるのは奇跡だ」と太鼓判を押したという。

     東京五輪の事前合宿誘致の鍵を握っているのは、各チームにいるオーストラリア選手やスタッフだ。毎夏の合宿を体験している彼らを絶好の「宣伝隊長」と想定。自国で既に協会幹部となっている人脈も活用する。

     もう一つの柱であるパラリンピックの車いす陸上も、過去の蓄積を生かす。旗振り役を務めているのは、同じ北海道出身の久保恒造(日立ソリューションズ)だ。久保選手は14年ソチ冬季パラリンピックのバイアスロン男子7.5キロ座位で銅メダル獲得後、車いす陸上に転向。過去に網走で合宿を行っていた久保は、オーストラリアの車いす陸上チームへの橋渡しを快諾した。既にロンドン大会陸上男子金メダリストを窓口に接触を図っている。

     サッカーの02年ワールドカップ日韓大会の時は、人口が1300人あまりの大分県中津江村(現・日田市)がカメルーン代表の事前合宿を誘致して話題を集めた。今回も既に、自治体間の合宿誘致合戦が繰り広げられている。水谷洋一網走市長は「(各国の)大使館回りをしているという首長さんの話を聞くと『大変だなあ』と思う。現場の積み重ねで合宿地は決まっている。要はノウハウだ」と話す。東京から遠く離れた地理的な不利は感じさせなかった。【芳賀竜也】

    ◇東京五輪・パラリンピックで第1次登録されたホストタウン◇

    都道府県 登録された市町村など

    北海道  網走市、士別市、名寄市

    青森県  今別町

    宮城県  仙台市、蔵王町

    秋田県  「秋田県・美郷町」

    山形県  上山市

    福島県  郡山市、猪苗代町

    茨城県  坂東市

    群馬県  前橋市

    千葉県  山武市

    東京都  武蔵野市、調布市

    神奈川県 「神奈川県・小田原市・箱根町・大磯町」、横浜市、川崎市、「平塚市・神奈川県」、厚木市

    新潟県  「新潟県・燕市・新潟市・五泉市・長岡市・弥彦村」、柏崎市、十日町市、上越市

    長野県  駒ケ根市、佐久市

    岐阜県  「岐阜県・高山市・下呂市」

    静岡県  三島市、焼津市、掛川市、藤枝市、伊豆の国市

    京都府  京丹後市

    兵庫県  神戸市

    鳥取県  鳥取県

    岡山県  倉敷市

    徳島県  徳島県

    福岡県  福岡県、北九州市、飯塚市

    佐賀県  佐賀県

    熊本県  熊本県

    大分県  別府市

    宮崎県  「宮崎県・宮崎市・延岡市」

     【ことば】ホストタウン

     2020年東京五輪・パラリンピックで海外選手を受け入れる自治体として、政府が今年1月に44件を第1次登録した=別表。市町村が基本だが、都道府県を含む他の自治体と連携するケースもある。事前合宿などを通じて文化、経済的交流を図る事業で、経費の半額を国の特別交付税でまかなう。69件の申請があり、残り25件は継続審査となった。今後も申請を受け付け、6月に第2次、11月に第3次登録を行う。

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