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ユニバーサルスポーツ特集

スペシャルオリンピックス「ともに生きる喜びを」参加者熱い思い

安藤さんとともにフィギュアスケートのエキシビションに参加した(左から)栗林君と藍野君=岩壁峻撮影

 「もう一つのオリンピック」と呼ばれ、国際オリンピック委員会と互いの活動を認め合う大会が知的障害者たちのスポーツの祭典、スペシャルオリンピックスだ。2月12〜14日には国内冬季大会が新潟県内で開催された。来年にオーストリアで行われる世界大会の代表選考会を兼ねていたこともあり、各会場では選手の気迫だけでなく、保護者らの熱い思いも伝わった。【岩壁峻】

    2月に新潟で7競技33種目開催

     大会は7競技33種目が行われ、全国31地区から計約1000人の選手、コーチらに加え、延べ4000人のボランティアが参加した。知的障害者の自立と社会参加促進を目的とするスペシャルオリンピックスだが、社会的な意義ばかりが強調されるのではなく、他の選手と切磋琢磨(せっさたくま)することで自身を成長させるというスポーツの精神も色濃く反映されている。

    大会最年少8歳でスピードスケートに出場した市吉康君(右)=岩壁峻撮影

     競技初日のスピードスケート会場には大会最年少の8歳、市吉康(こう)君=東京都杉並区=の姿があった。2歳で自閉症と診断され、両親が「いろいろな可能性を試そう」と考えていた中で出合ったのがスケートだった。競技を始めて1年ほど。土日の早朝に都内のリンクに足を運ぶため、5時半には起床する。それでも嫌な顔をするどころか喜んで練習に向かう。

     普段は1分でもじっと待つことができないという市吉君。母親は「スタートラインに立って指示を聞いて走ることに意味がある」と語る。今回初めて親元を離れて宿泊し、レースをこなした。父親は「将来を考えるきっかけになった」とホッとした表情を浮かべた。

     同じ会場では、フィギュアスケートのエキシビションも実施。フィギュアスケート女子の元世界女王で、大会サポーターの安藤美姫さん(28)とともに、栗林瑶昌(ようすけ)君(9)と藍野雄琉(ゆうり)君(8)が愛らしい笑顔を見せた。氷上を滑る藍野君の姿を見た父翔さんは「感動して泣いてしまいました。知的障害がある子は人前に出ることを恐れることもあるが、こういう経験ができたのは大きい」と興奮気味。安藤さんは「泣いてもいいし、弱音を吐いてもいい。スポーツをやることで人間の強さが試されるのだと思う」と話す。

    アルペンスキーで表彰台に立ち、笑みを浮かべる田丸さん=岩壁峻撮影

     アルペンスキーの田丸明衣さん(23)は、2013年に韓国・平昌で行われたスペシャルオリンピックス冬季世界大会に出場した経験を持つ。長野市内で障害者施設が運営するカフェに勤務するが、前回の世界大会出場を機に、周囲から声をかけられる機会も増えた。母美佳さん(52)は「競技や対人面でも一回り大人になり、練習にも身が入るようになった」と目を細める。エントリー種目をこれまでの中級から上級に上げたことで、意欲も増したという。競技を終えた田丸さんは「腰を低く、バランスも取れた。寒いのは嫌いだけど、スキーは楽しい」と満足げ。

     来年の世界大会出場も狙っており、美佳さんは「競技をするからには上を目指してほしい」と期待を込める。

     20年東京パラリンピックの開催決定で、障害者スポーツには多くの関心が向くようになった。元五輪女子マラソンのメダリストで、大会会長を務めた有森裕子さん(49)は「『障害者とともに生きていく』という言葉が飛び交うようになってきた中で、タイミングよく新潟で大会を開催できた」と振り返る。その上で、「障害者スポーツ=パラリンピック」だけでなく「おのおのの障害に応じた大会が行われていることに目を向ける必要がある」と願った。

    「魅力を伝える一助に」トヨタ自動車社会貢献推進部・朽木英次総括室長に聞く

    トヨタ自動車社会貢献推進部・朽木英次総括室長=小坂大撮影

     今年1月にスペシャルオリンピックス日本とナショナルパートナー契約を締結したトヨタ自動車の社会貢献推進部・朽木英次総括室長に期待することを聞いた。【構成・小坂大】

     スポーツに境界線はありません。障害者でも、健常者でも、トップアスリートであっても、市民スポーツでも、すべての人々にスポーツをする権利があって、そこでは感動、涙や笑顔など、いろいろな経験ができます。全てのスポーツに魅力があり、スペシャルオリンピックス(SO)には五輪・パラリンピックと同じような価値があると感じています。

     我々は野球、ラグビー、バスケットボールなど多くのチームを擁しています。いつの時代でも社員の一体感を醸成することは大切ですが、時代の変化に合わせて、スポーツの魅力を地域に広げる役割が求められるようになりました。子どもたちへの普及活動などを通じて、地域とコミュニケーションを図っています。SOに参加することで、その素晴らしさを広げる一助になればと思います。

     SOはいろいろな人たちが支え合っています。トヨタの社員はボランティアとして参加しました。障害を持っている方は不自由との印象がありますが、大会では生き生きとプレーされています。ボランティアに参加することで助けたいというより、もっと自身が頑張らないといけないといった学ぶ気持ちが強くなっていきます。多様性を理解して尊重することにもつながります。

     ボランティアに参加することは自らの意思。そこに自発的な思いがあります。企業は指示を待つだけでなく、自ら率先していく人材を育てたいと考えています。

     ボランティアの輪が社内外で広がることで、社員の人間力の育成や魅力的なスポーツの普及につながればいいと思っています。

    スペシャルオリンピックスとは

    横山薫さん=トヨタ自動車提供

     スペシャルオリンピックスは知的障害者にスポーツトレーニングの成果を発表してもらう機会を作るため、1960年代に米国で開催の動きが始まり、世界へと広がった。日本でも80年代から機運が高まり、94年に国内本部組織「スペシャルオリンピックス日本」が設立されたことで活動が本格化。現在は全都道府県に地区組織があり、約7800人のアスリート、1万5000人のボランティアが参加している。全国大会(ナショナルゲーム)はこれまで夏季、冬季ともに6回行われている。

     スペシャルオリンピックスの特徴は、選手をほぼ同じ競技レベルで競い合わせる「ディビジョニング」を採用していること。この方式を予選に見立てることで、全員が決勝に進み、表彰台に立つ。また、「社員のボランティア参加」などを掲げる企業と協力体制を築き、大会の理解を深めようとしている。

    中川孟さん=トヨタ自動車提供

     2月に行われたナショナルゲームから、スペシャルオリンピックス日本とナショナルパートナー契約を締結したトヨタ自動車が、新潟県内の競技会場に早速ボランティアを派遣した。実業団運動部に所属する選手も参加。相撲部の横山薫さん(36)は選手同士の交流で使う名刺作りを手伝った。日ごろは小学生に相撲の指導も行っている横山さん。「今回の経験を今後に生かしていきたいし、社会人としての視野も広げたい」と語る。選手の誘導を行った卓球部の中川孟さん(21)は初めてボランティアに加わった。「いつもは競技をする側だが、会場の準備をして選手を迎え、ふれ合ったのは良い経験になった」と振り返った。

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