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「アジア人初」メダル 快挙の羽根田が感涙

 ゴール地点のカヌー上で羽根田は祈るように残りのレースを見守っていた。最後の1人の選手を残して羽根田の順位は3位。その選手がフィニッシュして電光掲示板に「3」が表示された瞬間、羽根田は思わず顔を覆って泣き出した。「自分の内側から感情があふれてきて涙が出るのは競技人生で初めて。ようやく努力が報われた」。表彰台で銅メダルを首にかけられるとしみじみ見ながら、その重みをかみ締めた。

 準決勝を98.84点の5位で通過して迎えた決勝。10艇中5番目でスタートする羽根田は一つのことしか考えていなかった。「とにかくロスを少なくゲートをうまく通る。途中でロスしても、次で取り返そうとするだけ」。決して守りに入らず攻めることだけを胸に、スタート10秒前から一気に集中力を高めた。

 カヌーは、全長250メートルの人工コースを片側に水かきのついたパドルを使って激流を下り、2本のポールがぶらさがったゲートの間をくぐったり、回ったりしながらタイムを競う競技だ。ポールに接触すると減点になる。

 準決勝で好タイムを出した強豪選手がポールにぶつかり減点され、次々に脱落していくのとは対照的に、羽根田は24本のポールに一度もぶつかることなくフィニッシュ。準決勝を上回る97.44点を記録し、積極策と持ち前のバランス感覚で激流に耐えたことが好タイムとなって表れた。

 初出場となった2008年北京五輪は14位と惨敗した。「ガチガチで、まるで子供の頃の動きを見ているようだった」という。12年ロンドン五輪でもミスを繰り返して7位入賞。「世界一になる」という目標に近づけず、悔しさを積み重ねて迎えた3度目の五輪だった。「アジア全体で誰が五輪のメダルを最初に取るかをみんな目標にしてきた。その努力がようやく実り、『アジア人初』が自分になったことは本当にうれしい」。世界をリードする欧州勢に隠れていた日本人が、見事に表彰台に立った。【浅妻博之】

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